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【2019】世界の大気汚染国別ランキングワースト10中国北京よりも深刻なインド…

もし、あなたが敏感な方なら、「最近空気が汚れてきたな」と気づいているかもしれません。

 

世界の大気汚染情報がリアルタイムでわかるAQI(Air Quality Index)によると日本の大気圏は世界で19番目に汚染されていました。(2019年7月9日現在)

 

また、アメリカの環境保護庁では、大気汚染について以下のように注意することを設けています。

 

大気汚染の危険度を知る2つの見方

↑地図で見る赤い部分が、大気汚染が深刻なエリア、緑色であれば大気がキレイなエリアです。

 

大気汚染により、どんな悪影響があるのかは、次のグラフでまとめて紹介します。

色でわかる大気汚染の深刻度6段階

情報元:https://aqicn.org/faq/jp/

上記のグラフのように6段階に分かれており、オレンジ色の地域でも子供が外で長時間遊んだり、運動することを推奨しない内容になっています。

 

また、この6つの段階は以下の4つの汚染原因の量によって分類されています。

大気汚染の原因4種類

  • オゾン(O3)
  • PM2.5、PM10(粒子状物質)
  • 一酸化炭素(CO)
  • 二酸化硫黄(SO2)

AQIでは大気汚染の原因はこの4種類で計測しています。

 

また、アメリカの環境保護庁では、以下注意を設けています。

それから、大気汚染が深刻になりつつなる国の汚染原因を調べると、特にオゾンとPM2.5、PM10が主要な原因であることがわかります。

 

PM2.5の話をすると、日本でも「中国から流れてきているから心配…」と思う人も多くいると思います。

 

特に、中国に近い西日本で汚染がよくみられるので、そう思い込んでしまう人も多いのではないでしょうか?

 

しかし、詳しく調べてみると原因は日本国内で発生していることがわかります。

19位:日本

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

↑オレンジ色の汚染度が高い地域が西に集中していることがわかります。

 

オレンジ色な都市は、倉敷市、福山市、下関市、熊本市、鹿児島市です。

 

大気の汚染原因を調べてみると、やはりある共通点がありました。

 

倉敷市

↑倉敷市には、西日本最大の工業地域である「水島臨海工業地帯」があります。

 

戦後、工業地帯の急速な発展により、工業化による公害問題が倉敷市で大きな問題になりました。

 

1975年には郊外地域として指定され、1988年までに4000人が公害患者として認定されたのです。

 

現在も倉敷市が工業地帯であることに変わりはありませんが、公害対策として「みずしま財団」を作り、公害ビデオ・写真集の出版や環境教育にも力を入れています。

 

福山市

↑広島県東部に位置する福山市も、倉敷市と同様に中国・四国地方を代表する工業地帯です。

 

テレビの液晶画面に入っている基盤、ブレーカー、水道管など様々なものが福山市で作られています。

 

中でも、福山市民が深刻さを感じているのは大気汚染です。

 

2017年度の福山市の公害苦情件数は246件で、そのうち51%が大気に関する苦情でした。

 

水質に関する苦情が17.5%であることを考えると、大気汚染に関する公害苦情の割合は非常に多いと言えるでしょう。

 

山口県(下関市・光市)

山口県は、下関市、周南市、光市、岩国市など県内の様々な場所に工場があり、「工業県」とも呼ばれています。

 

山口県を中心とした中国-九州北部だけで、毎年200万台もの自動車が生産されているのです。

 

工場が多い分、工場での製造過程で出る汚染物質による大気汚染も深刻です。

 

特に、光化学オキシダントの問題があります。

 

これは、工場などから排出される窒素酸化物・揮発性有機化合物が太陽の光によって化学反応を起こした物質です。

 

光化学オキシダントの濃度が高くなると、人間の身体にも影響を及ぼします。

 

目の不快感、涙、めまい、のどの痛み、咳、吐き気が代表的な症状です。

 

光化学オキシダントの濃度が高まり、注意報が発令された際には屋外での運動や外出を減らす必要があるほどです。

 

山口県南東部の柳井市では、令和になってからすでに2回、光化学オキシダント注意報が発令されています。

 

鹿児島・熊本

鹿児島県・熊本県は、ここまで紹介した県とは違い、工業地帯ではありません。

 

2県ともに農業県と呼ばれるほど農業が盛んで、工場からの煙については、深刻な影響を受けるほどのレベルではないのです。

 

そのような状態にもかかわらず、大気汚染が深刻な理由は桜島の噴火があるからです。

 

「噴火は日常」と言われるくらい、桜島の噴火は県民にとって当たり前の現象です。

 

実際、桜島は1955年から休むことなく噴火活動を続けています。

 

火山の噴火によって二酸化硫黄が大気に溶け込むと、PM2.5の元となる硫酸の粒子が出来上がります。

 

鹿児島県、そして隣接する熊本県では、桜島の噴火の影響をダイレクトに受けて、大気汚染が起きている可能性が高いです。

 

こうして考えてみると、火山灰などの自然現象もありますが、はやり、「工業地帯」の近くで大気汚染が進んでいると言えます。

 

ですので、必ずしも「中国から流れてくることが原因で、日本の大気が汚染されている」というわけではありません。

 

それから、高度経済成長期の公害(水俣病やイタイイタイ病など)きっかけにして産業における環境改善に取り組んだところ、大気汚染物質の1つである二酸化硫黄はかなり減ってきています。

 

資料:二酸化硫黄(So2)の概要、年平均値の推移

しかし、それにもかかわらず、日本には世界で19番目に大気汚染がされている地域があるというのが現状です。

 

硫黄化合物(SOX)排出量は世界6位(OECD調べ)

窒素酸化物(NOX)排出量は世界5位(OECD調べ)

 

例えば、日本の1人当たりの自動車保有台数はも世界で7位と、自動車への依存が高く、排気ガスによる大気汚染も原因に上げられています。

 

一般財団法人日本自動車工業会の調査では、「2017年の時点で63%が汚染物質の出やすい従来車を使っている」と、報告されているように、日本国内での大気汚染対策は、まだまだ必要です。

 

10位:タイ

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

タイで特に大気汚染が深刻な地域は、タイ中部に位置する首都・バンコクとチェンマイを中心としたタイ北部です。

 

バンコクはやはり大気ガス問題

バンコクは人口800万人余りを抱える、東南アジア最大級の都市です。

 

GPP(県民経済生産/都市ごとの経済生産)はタイ国内で最も多く、タイの経済的な中心地でもあります。

 

バンコクの大気汚染の主な原因は、経済発展とともに進んだ工業化、車の使用です。

 

バンコクには970万台の車・オートバイがあると言われ、誰もが排気ガスを出せる状態にいます。

 

このことが大気汚染を引き起こし、2019年1月には大気汚染によって学校が休校となりました。

 

対象となったのは、バンコク市内の400余りの学校です。

 

チェンマイは、伝統農法「野焼き」の影響が

一方で、チェンマイを中心としたタイ北部は、バンコクのように工業化されてはいません。

 

タイ北部全体で見ると農業、林業、漁業などの第一次産業が産業別GDP構成比の50%を占めるので、第一次産業がメインの地域と言えます。

 

そんなタイ北部で大気汚染が深刻な理由は、野焼きをしているからです。

 

野焼きとは、作物を栽培した後の農地を焼き払い、土の力を回復させる方法です。

 

ですが、野焼きによって生まれる煙がPM2.5をはじめとした大気汚染物質を生み出すことにもなります。

 

タイ北部の場合は現地での野焼きの影響があるのはもちろんですが、隣国のミャンマーやラオスの野焼きの煙がタイに飛散するため、大気汚染レベルが上がっています。

 

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9位:イスラエル

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

イスラエルで特に大気汚染が深刻なのは、中部のグッシュ・ダンと、中北部のハイファ湾付近です。

 

交通渋滞の街「グッシュ・ダン」

↑グッシュ・ダンはイスラエルの経済を支えるエリアで、人が多いだけに交通渋滞が常に起きています。

 

交通渋滞で多数の車がグッシュ・ダン内の年にとどまり、排気ガスを出すことが、大気汚染を悪化させる原因になっています。

 

2019年には交通量がピークになる時間帯に、一部地域を通行するときに徴税する方策を検討しはじめたほど、交通渋滞とそれにかかわる環境問題が深刻な場所です。

 

それに加えて、グッシュ・ダンは地域的に大気汚染の影響を受けやすい特徴を持っています。

 

1年のうち2か月もの間、グッシュ・ダン付近には砂嵐がやってきます。

 

国内のネゲブ砂漠から来るほか、遠くはアフリカのサハラ砂漠からも砂嵐がやってくるのです。

 

国内外の汚染された空気を持った砂嵐がグッシュ・ダンにやってくることで、ますます大気の状態が悪化します。

 

世界的な企業を支える「ハイファ湾」

もう1つの汚染地域であるハイファ湾付近についてです。

 

ハイファ湾付近は、人口はグッシュ・ダンほどの規模ではありませんが、様々な企業の産業拠点となっています。

 

マイクロソフトやグーグルなど世界的にも有名な半導体メーカーがハイファ湾付近に開発拠点を持っており、石油化学施設も存在します。

 

ハイファ湾付近の大気汚染の主な原因は、これらの複合的な産業によるものです。

 

↑イスラエルのオンライン新聞である「THE TIMES OF ISRAEL」は、「ハイファでは全国平均よりガン罹患率が15%高く、子供の喘息患者は全国平均の2倍である」と報道しました。

 

8位:イラン

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

イランで最も大気汚染がひどい地域はテヘランです。

 

テヘランはイランの首都であり、人口は1200万人、日中は市外からの流入によって1400万にも及ぶ大都市です。

 

↑テヘランの大気汚染の様子がわかる動画です。

 

テヘランも、ほかの大都市と同じように工業化と自動車によって大気汚染が起きています。

 

イランの新聞「テヘランタイムズ」は2018年の時点でテヘランにある500万台の車のうち、40万台は排気ガス基準を満たしていないと報じました。

 

車を利用する人が多い問題もありますが、使っている車が環境を考慮していない旧型車であることも問題です。

 

さらに、テヘランは土地柄、大気汚染された空気が溜まりやすいという特徴を持っています。

 

テヘランのすぐそばのカスピ海との間には、標高5600mを超えるアルボルズ山脈があります。

 

テヘランで生まれた汚染物質とそれを含んだ空気は、アルボルズ山脈に阻まれ、テヘラン市内やその周辺に留まってしまうのです。

 

7位:イタリア

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

イタリアで大気汚染が深刻な地域はロンバルディアです。

 

この地域に含まれるのが、トリノ・ミラノです。

トリノ

↑動画は、晴れた日のトリノの様子です。

 

この2都市は、どちらも工業都市としてよく知られており、トリノは自動車メーカー「フィアット」が設立された都市でもあります。

 

自動車の生産はもちろん、軍用品から航空機器に至るまで、トリノ・ミラノでは様々な分野での生産がおこなわれていることから、生産過程で排出される大気汚染物質も多量なのです。

 

白いもやがかかっており、遠くの建物が蜃気楼のようにぼんやり見えます。

 

そのほかにも、大気汚染の原因はあります。

ミラノ

 

ミラノには、イタリアで最も混雑している20の道路のうち、12が密集しています。

 

イタリアだけではなく、ヨーロッパ全体で見ても、渋滞による浪費時間のランキングで10位となるなど、自動車渋滞の問題が深刻な都市です。

 

大量の車が市内にとどまり続けることで排気ガスの量が増え、大気汚染が起きています。

 

特に、汚染された空気を流してくれる雨が少なくなる冬は、大気汚染がより深刻になります。

 

2015年12月には、深刻な大気汚染を理由に自動車の市街地への乗り入れが一時的に禁止されました。

 

ポー平原

↑スモッグの中農業をする様子。

もう1か所、ロンバルディアの大気汚染と関係しているのがポー平原付近です。

 

ポー平原付近は、古くから農業と畜産業の地として有名でした。

 

今でもイタリアの豚肉生産量の半分以上は、ポー平原で行われています。

 

食肉産業はイタリア全体の経済を支える力にもなっている一方で、大気汚染ともかかわっています。

 

動物の飼料や家畜の排せつ物から、ガス・大気汚染物質が発生するためです。

 

6位:ウガンダ

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

ウガンダで大気の状態が最も悪いのは、首都のカンパラです。

 

WHO(世界保健機構)が2016年に発表したWorld Health Reportによれば、ウガンダの大気汚染関連死(肺がん、慢性閉塞性肺疾患など)は毎年3万人を超えるとのことです。

 

この数字は、HIV/エイズの死者とほぼ同等で、大気汚染がウガンダの人々の命に与える深刻な影響がわかります。

 

その中でも特に汚染のひどいカンパラは、ウガンダ全体のGDPの60%を支える経済中心地です。

 

カンパラを中心としたウガンダの主要産業は農林水産と鉱業・製造業で、飼料や製造過程での大気汚染も当然考えられます。

 

ですが、それ以上にカンパラで問題となっているのがプラスチックの廃棄です。

 

↑動画は、カンパラ付近のスラムの様子です。

 

ウガンダのオンライン新聞「New Vision」は2015年に、「ウガンダ全体で1日600トンものプラスチックが廃棄されている」と報じました。

 

プラスチックが集まってゴミ山が作られると化学反応やゴミ同士の摩擦で燃え、有害物質が煙となって広がり、大気汚染を起こすことがわかっています。

 

5位:チリ

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

チリで特に汚染がひどい地域は、2つあります。

 

1つが首都のサンティアゴ、もう1つが南部のコイハイケ(コジャイケ)です。

 

工業化と地形の影響を受けるサンティアゴ

2015年、環境緊急宣言を受けて交通規制を行うサンティアゴの街の様子です。

 

町全体が白いもやに覆われているのがわかります。

 

サンティアゴは560万人の人口を抱えるチリの首都であり、南米最大の都市の1つでもあります。

 

チリの主要産業は工業、製造、建設で、中でも銅輸出が有名です。

 

チリでの銅採掘、鋳造をはじめとした工場の排気による大気汚染は深刻です。

 

そして、サンティアゴ付近は2つの山脈に挟まれるような形の盆地なので、工場からの排気を自然に循環させるのが難しいという問題もあります。

 

2015年6月には、大気汚染の悪化を防止するため、市内1300以上の工場が一時的に閉鎖されました。

 

これは予防策ではなく、環境緊急宣言として急遽決まったものです。

 

また、毎年冬季に大気汚染防止のための車両の通行規制も行われています。

 

「車のナンバーの末尾が5,6,7,8なら7時半から9時半まで通行不可」といった規制です。

 

コイハイケ(コジャイケ)の薪ストーブ問題

↑北京よりも大気汚染がスゴイと言われるコイハイケ。

 

首都のサンティアゴに比べると、もう1つの大気汚染が深刻な地域であるコイハイケ(コジャイケ)は、経済的な原因からの大気汚染ではないことがわかります。

 

コイハイケ(コジャイケ)の大気汚染の原因は、主に薪ストーブです。

 

コイハイケ(コジャイケ)は最も寒いときには氷点下になるので暖房が必須ですが、昔から薪ストーブが使われる傾向にあります。

 

薪ストーブを使用するときに湿った木材を使うと、大気汚染物質が発生しやすくなります。

 

薪ストーブの使用法に対する知識不足、経済的な事情から正しく使うことが出来ないなど、様々な事情から薪ストーブを大気汚染の原因にしてしまう人が多くいます。

 

4位:中国

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

黄砂などが舞うことから、日本人にとっても中国の大気汚染の深刻さは想像がつきますよね。

 

中国はほかの多くの国と同じように大都市圏、あるいは工業地帯における大気汚染が深刻です。

 

↑中でも、衡水、唐山、北京を含む河北省が、特に大気汚染の深刻な地域と言えるでしょう。

 

河北省の大気汚染の深刻さは、石炭産業が盛んなことと関係しています。

 

以下の図は、世界の石炭産出量のランキングです。

資料:INDEX MUNDI 出典:United States Energy Information Administration

1位の中国が圧倒的な石炭産出量を誇っていることがわかりますね。

 

中国にはいくつか有名な炭田があり、大気汚染の深刻な唐山にも、1878年から使われ始めた「開らん炭田」があります。

 

1949-1970年代ころまでは、国家戦略として「重工業優先」が掲げられ、その中心地となったのが河北省でした。

 

全国の工業発展を先頭で引っ張った地域ではありますが、大気汚染という側面から見ると工業地帯の排気による汚染の影響も人一倍受ける地域です。

 

↑中国北部の大気汚染を記録した動画を見てみると、車の通行が可能なのが不思議なくらい視界が悪いのがわかります。

 

 

 

3位:アメリカ合衆国

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

アメリカでもっとも深刻な大気汚染が起きている地域はニューヨーク州、次にアイオワ州やウィスコンシン州が続きます。

 

ウィスコンシン州

 

まず、ウィスコンシン州については普段から大気汚染が深刻というよりも、季節の影響を受けるケースが多いです。

 

夏になると気温が急に上がるのに加えて風が弱いかほとんど吹かない日が続くことで、空気が停滞するため大気汚染の深刻度が増す。

と言われています。

 

しかし通年かつ州全体で見ると、アメリカの全51州の中での空気の良さは7位で、ポジティブな側面も持っている地域でもあります。

 

アイオワ州

↑アイオワの水は年間300人ものガン発症を誘発しているとい割れています。

 

次に、中西部に位置するアイオワは、一部製造業も行ってはいますが伝統的に農業・養豚業が盛んな地域です。

 

アメリカ全体で生産されるとうもろこしのうち、18%もをアイオワ州での生産が担っています。

 

ですが、アイオワの大気汚染の原因となっているのもとうもろこしです。

 

2019年のミネソタ大学の研究によれば、「とうもろこしの生産過程において発生する物質を原因とした大気汚染が、年間4300人の早期死亡と関連している」とのことです。

 

ニューヨーク州

 

最後に、ニューヨークについてです。

 

言わずと知れた世界の中心都市であり、東京都よりも人口密度が高いのが特徴です。

 

人の多いところでは、生活や仕事に伴って様々な大気汚染物質が生まれます。

 

ペットボトルの利用、車の利用、工業施設からの排気といった複合的な要因が、ニューヨークでの大気汚染に関わっています。

 

とはいえ、ニューヨーク市が2007年から取り組んでいる「ニューヨーク市長期計画」は一定の成果を出しています。

 

これは、大気汚染に限らず様々な環境汚染にアプローチする取り組みです。

 

2013年の時点で「過去50年と比べて最も空気の質が良い」とニュースで報道されるほどになり、喘息の救急患者が1600人減少しました。

 

ニューヨーク市は、2050年には二酸化炭素排出量を実質ゼロにすべく、さらに大気汚染改善に取り組むと発表しています。

 

アラスカ

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

そのほかに、飛び地であるアラスカでも深刻な大気汚染が見られます。

アラスカの中心都市であるフェアバンクスの大気汚染の原因は、石油産業と暖房使用です。

 

真冬の1-2月には最低気温がマイナス20度を下回るなど大変寒い地域ですので、暖房使用がどうしても多くなりがちです。

 

暖房に必要な灯油の需要が高い分だけ生産も必要で、それがアラスカ都市部にあるフェアバンクスの大気汚染を悪化させています。

 

2位:インド

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

インドで大気汚染が北部のデリー付近と、北西部のラジャスタン州です。

 

デリーは、学校で野外活動中のマスク着用を義務付けるほど、大気汚染が深刻です。

 

大気汚染の原因は大きく分けて3つあります。

 

交通渋滞による排気ガス

↑交通渋滞でカオス化したデリーの道路。

1つは、交通渋滞です。

 

デリーの人口はここ20年で驚くほど増えました。

 

20年前にはおよそ1500万人の人口だったのが、2019年の推定値では2900万人となっています。

 

急激な人口の増加に対してインフラは追い付かず、どこでも交通渋滞が起きています。

 

 

そして、交通渋滞中の車からの排気ガスによって大気が汚染されます。

 

野焼き

↑広大な畑が燃やさせている様子。

2つ目は、野焼きです。

 

デリー付近ではタイと同じように野焼きが行われています。

 

野焼きの煙も、デリーの深刻な大気汚染の原因です。

 

重工業施設の排気による大気汚染

3つ目が、重工業施設の排気による大気汚染です。

 

大気汚染のひどい地域は工業地帯であることが多いのですが、デリー付近にも巨大な工業地帯があります。

 

都市部が持つ人口増加による渋滞、工業地帯が持つ排気、東南アジアで昔から行われてきた野焼きの3つが、デリーの空気を悪化させています。

 

↑デリーと同様に大気汚染が深刻な地域がラジャスタン州です。

 

ラジャスタン州では、2017年に9万人以上が大気汚染に関連して亡くなっています。

 

このように大気汚染が進んだ背景にあるのは、石油生産の問題です。

 

ラジャスタン州付近には22もの油田があり、インドの石油生産を支える地域です。

 

つまり、石油を作る過程で発生する大気汚染物質の量も、石油に比例して多くなるということです。

 

↑もう1つは、ラジャスタン州から隣国のパキスタンにまで広がるタール砂漠の砂塵による大気汚染です。

 

毎年3-6月には砂嵐が起き、砂漠と隣接する様々な地域・国の大気汚染物質が、ラジャスタン州に集まります。

 

1位:メキシコ

資料:世界の大気汚染: リアルタイム空気質指数

メキシコで大気汚染が特にひどい地域は北部のコアウイラとドゥランゴ、中西部のアグアスカリエンテスです。

 

これらの地域はすべて、産業によって大気汚染が深刻さを増している地域です。

 

コアウイラ州

↑北部のコアウイラ州はメキシコの埋蔵石油のうち95%が集中する石油産業が盛んな地域です。

 

コアウイラ州のサルティーヨは、世界的にも有名な自動車メーカーっである「ゼネラルモーターズ」「クライスラー」の工場を抱えています。

 

自動車工場からの排気によって生まれた大気汚染物質が空を舞っていたとしても不思議ではないのです。

 

アグアスカリエンテス

 

↑アグアスカリエンテスにある日産の工場。

同じく自動車産業とかかわりがあるのが、中西部のアグアスカリエンテスです。

 

アグアスカリエンテスには、日本の大手自動車メーカーである日産の工場が3つあり、コアウイラと同様に車そのものや部品製造で発生する大気汚染物質に悩まされています。

 

ドゥランゴ

ここまでの2つの都市の大気汚染は第二次産業が原因でしたが、北部のドゥランゴだけは第一産業が原因です。

 

↑ドゥランゴの経済を支えているのは農業と畜産業で、農業ではとうもろこしや豆の栽培が盛んです。

 

大気汚染ランキング第3位のアメリカ合衆国の項で紹介したように、とうもろこしは生産過程において大気汚染物質を生み出します。

 

畜産業では、主にアメリカに輸出される肉牛の生産がおこなわれています。

 

牛のゲップには、大気汚染物質の一種であるメタンが含まれます。

 

牛1頭で1日160-320リットルものメタンガスを発生させるので、畜産業においてどのようにメタンガスの排出を防ぐかが課題と言えそうです。

 

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【まとめ】5つの汚染原因は先進国にも原因がある

汚染の原因をまとめると

  • 工場から汚染物質の排出
  • 自動車の排気ガス
  • 農業による汚染物質の排出
  • 伝統文化による汚染物質の排出
  • 自然による汚染物質の排出

の5つに分けることができました。

メキシコやインド、イスラエルに関しては、先進国の産業の「下請け」としての役割が多い部分にも注目しなければなりません。

 

つまり、大気汚染はその国だけが原因ではなく、先進国の企業が経営する工場や消費のあり方にも原因があります。

 

これらの「下請け」を担っている国の大気汚染改善のためには、企業はもちろん、その先で商品を使っている私たちも意識を変えていくことが必要だとは思いませんか?

 

自動車保有台数|一般財団法人自動車検査登録情報協会
https://www.airia.or.jp/publish/statistics/number.html
日本政府の長期ゴール・次世代自動車普及状況|一般社団法人次世代自動車振興センター
http://www.cev-pc.or.jp/event/pdf/J_all_panel.pdf
タイ北部の煙害問題 原因国のミャンマーとラオスに協力要請|バンコク週報
https://bangkokshuho.com/thaisocial-209/
タイ北部7県で大気汚染が悪化 バンコクは軽減するも政府は「油断するな」|バンコク週報
https://bangkokshuho.com/thaisocial-173/
Bangkok schools closed over ‘unhealthy’ pollution levels|BBC NEWS
https://www.bbc.com/news/world-asia-pacific-47057128
微小粒子状物質(PM2.5)と野焼き行為との関連について|環境省
https://www.env.go.jp/air/osen/pm/ca/300327noyaki.html
Israel weighs introducing congestion charges to ease city center traffic|THE TIMES OF ISRAEL
https://www.timesofisrael.com/israel-weighs-introducing-congestion-charges-to-unstick-city-center-jams/
Ombudsman says Israel failing to curb Haifa pollution, despite government claims|THE TIMES OF ISRAEL
https://www.timesofisrael.com/ombudsman-says-israel-failing-to-curb-haifa-pollution-despite-government-claims/
Clunker cars cause 65% of air pollution in Tehran|TEHRAN TIMES
https://www.tehrantimes.com/news/431095/Clunker-cars-cause-65-of-air-pollution-in-Tehran
Milan Italy’s worst for traffic|Wanted in MILAN
https://www.wantedinmilan.com/news/milan-italys-worst-for-traffic.html
CLIMATE AND HEALTH COUNTRY PROFILE – 2015
UGANDA|WHO
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/246136/WHO-FWC-PHE-EPE-15.30-eng.pdf;jsessionid=E00870B4398AA3E453388FBCE6B1B11A?sequence=1
lastic waste is chocking Kampala city|New Vision
https://www.newvision.co.ug/new_vision/news/1324822/plastic-waste-chocking-kampala-city
Air and Water Quality Rankings|U.S news
https://www.usnews.com/news/best-states/rankings/natural-environment/air-water-quality
Air-quality-related health damages of maize|nature sustainability
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OneNYC 2050
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By the Numbers: Air Quality and Pollution in New York City|State of the Planet
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メキシコ市で深刻な大気汚染 学校閉鎖し車自粛も要請|CNN.co.jp
https://www.cnn.co.jp/world/35137141.html

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