「地球温暖化は陰謀だ、嘘だ!」という説を支持する人もいますが、
詳しくはこちらの記事→トランプ大統領「地球温暖化は嘘!」という11の主張 >
日本でも最高気温が41℃を超えたり、熱中症で死亡する人が20年で7倍に増えている現実を知れば、地球温暖化が進んでいる事実を受け入れずにはいられません。
その他にも、南極や北極の氷が溶けたり、海面の推移が高くなったりというデータを見れば、地球温暖化の事実をくつがえすことはできないでしょう。
今回はデータとともにいかに地球温暖化が進んでいるかという事実をデータと一緒に見ていきましょう。
日本の平均気温は100年で1.5度上昇、このままだと…
情報元:気象庁
まず、日本の気温自体は平均的に上がってきています。
気象庁のデータによれば、100年間で1.21℃の上昇という数値が出ています。
しかし、実際は都市部のヒートアイランド現象も影響しており、東京では3.2℃上昇、大阪でも2.7℃上昇と、体感温度的にはもっと大きくなっています。
これだけ暑い日が多くなってくると、「100年でたった1℃しか変わっていないの?」と疑いたくなってしまいますが、もちろん事態はそれ以上に深刻な状況になっていることがわかります。
地球温暖化を認めざるを得ない5つのデータ
地球の平均気温が上がってきたことからも地球温暖化の現状がよくわかりますが、目に見えてわかりやすいデータが他にもあります。
猛暑日(35℃以上)の日数が増えてきている
データ元:気象庁気候変動監視レポート2017
1970~1990年の間では日中35℃を超える日は、多くても2、3日程度でした。
しかし、1990年以降になると猛暑日の観測が急激に増えていることがわかります。
30年前までは1年に1日あるかないかくらいだった猛暑日が、現在では珍しくなくなってきています。
熱中症死亡者数が20年で7倍に激増している
情報元:厚生労働省統計情報部資料
「昔は熱中症なんて話は聞かなかった…」という話があることからも、近年の気温の上昇を裏付けることができます。
1990年頃は熱中症で亡くなる人数は多くても150人程度でしたが、2007年は1000人近くと、およそ7倍にまで膨れ上がっています。
近年まれにみる酷暑の日には、野外での活動やスポーツを禁止される日も出てきました。
北極の海氷面積が観測史上最小サイズに…
アメリカのNASAの観測によると2017~2018年冬の北極海の面積は1448万平方キロメートルと観測史上最小のサイズを記録しました。
これは1979年の2790万平方キロメートルのほぼ半分のサイズです。
北極海では40年で半分もの氷が溶けていることがわかります。
世界中の氷河が溶けている…
北極の氷だけではなく、世界中の氷河が溶けていることからも地球温暖化が進んでいることがわかります。
アフリカで最も高いキリマンジェロに残っている氷河はすでに85%もが減少しており、2033年には確実に消滅すると言われています。
私たち日本人に馴染みのあるヒマラヤ山脈でさえ、21世紀末までに1/3が消滅すると言われています。
北極だけではなく世界中の山にある氷が溶けつつあり、「すでに地球温暖化を止めることは不可能である」と示唆する研究者も少なくありません。
100年で19cmも海面が上昇している
出典)IPCC第5次評価報告書
IPCCの第5次報告書では1901~2010年の間に海面水位が19cmも上昇していることが報告されました。
この海面が上昇した主な原因は、北極や陸上にある氷が溶けていること、それから水温が上昇することで海水が膨張することが上げられていまます。
1年で95%のサンゴが急激に白化する地域も…
「水中の熱帯雨林」とも言われるサンゴ礁ですが、このサンゴ礁が近年劇的な割合で白化してきてしまっています。
その主な原因が海水温の上昇と言われており、オーストラリアのグレートバリアリーフでは1年で95%ものサンゴ礁が白化してしいました。
日本の石垣島や西表島も深刻で10年の間に66%ものサンゴが白化する事態になってしまっています。
このままだと気温は6.4℃も上がる?地球温暖化で起こる5つの災害
全国地球温暖化防止活動推進センターの予測では、2100年、つまり22世紀が始まるころには地球の温度は6.4℃上がるとされています。
これは、1961年から1990年の地球の温度の平均値を基準にして、6.4℃の上昇ということです。
20℃が26.4℃になるとイメージすると、確かに暑いとは思いますが、洋服を調整したり冷房で対策できそうな気もします。
ですが、平均気温の6.4℃上昇は、私たちが考えるよりもっと危険な数値なのです。
北極が南国化する
6.4℃よりもさらに大きな8℃の気温上昇があった場合には「北極でワニが泳ぎアラスカにヤシの木が生える」とナショナルジオグラフィックが紹介しています。
今の感覚から行くと、想像もつかない世界になりますね。
問題はそれだけではありません。
洪水と海面上昇で家が浸水する
WWF(世界自然保護基金)は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価報告書を紹介する記事の中で、いくつかの問題を提起しています。
まずは地球が暖かくなって寒い場所の氷が解け、海面上昇や洪水を引き起こすリスクです。
IPCCでは、21世紀末までに0.26-0.82mの平均海面水位上昇を予測しています。
もしも1mの海面上昇が起きた場合、日本の砂浜の90%はなくなってしまうのです。
22世紀の子供たちは、砂浜で遊ぶことすらできなくなるかもしれません。
そして、海面上昇によって金銭的な被害も予測されています。
↑環境省は、15cmの海面上昇で毎年5兆円以上の被害が出ると予測しました。(写真はイメージ)
さらに、地球温暖化によって命の危険も出てきます。
熱波による死者数が増加する危険があるからです。
死人が出るほどの熱波に襲われる
↑2015年にはインド各地で続いた熱波により、500人以上が死亡しました。
最近、夏になると「熱波」「猛暑日が連続で何日」といったニュースに触れることも多いですね。
気候変動に関する月刊誌「Nature Climate Change」は、2100年に48-74%が致命的な熱波による死のリスクにさらされると警告。
温度と湿度の組み合わせでわかる暑さ指数(WBGT)が40に達すると、死のリスクが上がります。
2018年7月23日、埼玉県熊谷市が41.1℃という歴代最高気温を記録した日の日本の暑さ指数(WBGT)は、最も高い高知で32.3でした。
温度だけではなく湿度にも影響されるので、その日は実際の気温が高い熊谷ではなく、高知が最も危険だったのです。
このまま平均気温が上がり続ければ、死のリスクが高まる暑さ指数になる可能性も、当然出てきます。
しかも、日本はもともと湿度の高い国ですので、温度にプラスして湿度の影響も受け、熱波による死が増えるかもしれません。
深刻な水不足にみまわれる
そして、地球温暖化が進むと水不足が起こると言われています。
氷が解けるのなら水は不足しないのでは、と思うかもしれませんが、地球全体、1年という時間全体で見ると確かに水は増えます。
ですが、雨の強度や頻度が変化することによって、不必要なほど雨の多い地域、必要なのに雨が降らない地域、異常に雨の多い時期・少ない時期というばらつきが出てしまいます。
これにより干ばつが起きたり、山火事のリスクが高まります。
乾燥地帯での干ばつ・山火事が頻発する
2018年にアメリカで起きた山火事の様子
アメリカ・カリフォルニア州は以前から季節風の影響を受けた山火事が起きることで知られています。
山火事自体は珍しくはないのですがここ最近は被害が大きくなっています。
2018年の「Camp Fire」という山火事では、1000人以上が行方不明になりました。
そして、被害が大きい背景に、干ばつ・極度の乾燥化がかかわっている可能性が指摘されているのです。
地球の様々な場所で干ばつが起き、山火事が起きると人々は住む場所を失い、生計を失います。
作物の育たない畑が増えることで、食糧難の可能性も出てきます。
住居、食料、金銭のすべてを失った人々が、暴徒になる恐れすらあるのです。
このように、地球温暖化によって考えられる危険なシナリオはいくつもあります。
私たちが何の対策も取らなければ、予測以上の最悪のシナリオが現実になるかもしれません。
京都議定書が定めた地球温暖化の原因となる温室効果ガス6種類
地球温暖化の原因と言われているのが、『温室効果ガス』です。
温室効果とは、地球の気温をビニールハウス(温室)の内部のように温めることです。
温室効果ガスは、地球の気温を温める気体を指しています。
1997年に地球温暖化防止のために京都で国際会議が行われ、6種類の気体が温室効果ガスとされました。
- 二酸化炭素(CO2)
- メタンガス(CH4)
- 一酸化二窒素(CH4)
- ハイドロフルオロカーボン(HFC)
- パーフルオロカーボン(PFC)
- 六フッ化硫黄(SF6)
それぞれの気体が何に使われているのか、どれくらい使われているのか、地球温暖化とどれくらいかかわっているのかを見てみましょう。
なお、地球温暖化とのかかわりを示すものとして、地球温暖化係数というものを用います。
これは、二酸化炭素が地球温暖化に与える影響を1として、ほかの温室効果ガスがどれくらい温室効果を持っているかを示す数値となります。
二酸化炭素(CO2):地球温暖化係数1
二酸化炭素は、私たちが吐く息にも含まれているくらいありふれた物質です。
気象庁によれば、温室効果ガスの総排出量の76%ほどを占めているとのことで、二酸化炭素が温室効果ガスの中心ともいえます。
そんな二酸化炭素が使われているのは、化石燃料を使うものすべてです。
石油、天然ガス、石炭などがその代表で、これらの化石燃料を燃やすと二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などが発生します。
石油は私たちにとって最も身近な資源として、暖房や電気の熱源、自動車を走らせる動力源、プラスチック製品など、多様な場面で使われています。
2016年には日本のエネルギーのうち89%が化石燃料であると資源エネルギー庁から報告がありました。
【2019】世界の二酸化炭素排出量が多い国ランキングTOP10「推移グラフで意外な結果が…」>
メタンガス(CH4):地球温暖化係数 21
メタンガスの地球温暖化係数は21、つまり二酸化炭素の21倍も地球温暖化にかかわっていることになります。
温室効果ガスの種類別排出量では15.8%と割合はそれほど多くはないものの、二酸化炭素に続き2位。
都市ガス成分の一部であるほか、ゴミの埋め立て地からも発生し、珍しいところでは家畜のゲップや糞にも含まれている成分です。
亜酸化窒素/一酸化二窒素(N2O):地球温暖化係数 298
一酸化二窒素は長い寿命を持つ気体で、大気中で121年も影響を及ぼし続けます。
地球温暖化係数は298で、二酸化炭素の298倍、地球温暖化に支障をきたします。
ただ温室効果ガスの総排出量の6.2%と割合は少なめです。
地球全体で見ると濃度が上がっており、1985年には305ppb以下だった濃度が2017年には330ppbを超えています。
あまりなじみのない名前ですが、全身麻酔・歯科での笑気麻酔など医療分野にも用いられています。
ハイドロフルオロカーボン(HFC): 地球温暖化係数 14800
ハイドロフルオロカーボン類は自然界には存在しない温室効果ガスです。
20世紀に大量に使用されて問題となったフロン(CFC)の代替品として出てきたフロンで、オゾン層を破壊しないことが特徴でもあります。
ただし、温室効果までなくなったわけではないので、フロンよりは無害だが、温暖化とのかかわりはあると言えます。
温室効果ガスに指定されているのは19種類のハイドロフルオロカーボン類で、それぞれ地球温暖化係数が異なります。
最も地球温暖化係数が低いハイドロフルオロカーボン類であるフルオロエタンでも12、最も地球温暖化係数が高いハイドロフルオロカーボン類であるトリフルオロメタンは14800にもなります。
このハイドロフルオロカーボン類は、主に冷房や発泡剤に使われています。
例えば各種エアコン、業務用低温機、ウレタンフォームが代表です。
パーフルオロカーボン(PFC):地球温暖化係数 17340
パーフルオロカーボン類もハイドロフルオロカーボン類と同様に、自然界には存在しない温室効果ガスです。
ハイドロフルオロカーボン類と同じ点はそれだけではありません。
パーフルオロカーボン類もフロンの代替品として用いられるようになったこと、オゾン層を破壊しなくとも温室効果の問題が残っていることも同じです。
9種類のパーフルオロカーボン類が温室効果ガスに指定されており、地球温暖化係数は最も低いパーフルオロメタンで7390、最も高いパーフルオロシクロプロパンで17340と、非常に有害です。
パーフルオロカーボン類は、私たちの生活のいたるところにかかわってきています。
というのも、半導体、プラズマディスプレイ、LED、有機ELディスプレイの製造の際に用いられるからです。
これらを使ったテレビ、パソコン、スマートフォンは誰の家にもある「当たり前のもの」ですよね。
そんな当たり前に使っているものを製造する過程にも、地球温暖化の原因が存在します。
六フッ化硫黄(SF6):地球温暖化係数 22800
六フッ化硫黄は、今まで紹介した温室効果ガスの中で最も高い地球温暖化係数を持っています。
その数値は22800、二酸化炭素の2万倍以上もの影響があるのです。
六フッ化硫黄も、パーフルオロカーボン類と同様に、私たちの生活に欠かせない電気関連機器に用いられています。
六フッ化硫黄は熱に強くさびにくい特徴を持っているので、電気関連機器の絶縁体に使われることが多いです。
地球温暖化が嘘だと言われる理由とは?
↑「地球温暖化は詐欺である」という主張。
↑地球温暖化が実は起きていない、という話が存在します。
どうしてこのような説が出てくるのか、2つの説と1つの事件を紹介しましょう。
地球温暖化は自然の気候変動が原因という見解も
まず1つ目の説は、地球温暖化は自然な気候変動の過程という説です。
地球の気候は1分1秒、常に少しずつ変化し続けています。
例えば、6550万年よりも前の地球は氷が存在しない惑星でした。
それが4900万年前には氷河時代になるなど、長い時間を経て大きく変化することもあります。
こういった自然な気候変動が現在も起きており、それを地球温暖化と呼んでいるというのが、この説の言わんとしていることです。
石油の利権問題で作られている?
もう1つは、政治的な圧力があるという説です。
地球温暖化という言葉は1980年代後半に、いきなり出現しました。
その背景には「環境ビジネス、再生可能エネルギー、原発推進による利権を狙った誰かがいたのではないか?」とも言われています。
確かに、石油から発生する二酸化炭素を悪者にすれば、代替品が必要になります。
そして代替品として、水力・風力、あるいは原子力といったエネルギーを推進することで利益を得られる人がいる、という話もあります。
クライメイトゲート事件
↑そして、2009年には驚くべき事件が起きました。
気象研究で非常に有名だったイギリスのイーストアングリア大学から、電子メールが盗み出されました。
そしてそこには、恣意的にデータを改ざんした形跡があったと話題になったのです。
「温度が下がっている部分を隠して地球温暖化を装った」として、地球温暖化懐疑派が、疑問を投げかけました。
ですが翌2010年に第三者調査機関によって、「データのねつ造はなかった」と結論づけられています。
NASAは地球寒冷化が起きていると予報?
地球温暖化が叫ばれている中で、アメリカのNASAは太陽の活動が低下していることを理由に地球が寒冷期に入るといると観測しています。
これをきっかけに、「地球は温暖化していない」、「地球温暖化は嘘である」ということが述べられています。
しかし、寒冷期であるにもかかわらず、気温が上がり続けている事実は変わりません。
NASAは寒冷期に入ったとしながらも、facebookでは、
多くの人が地球温暖化の結果が気温だということに囚われすぎている。
その他の現象(海面上昇、氷床・氷山の融解、湖水温上昇…など)を見ても地球温暖化を否定し続けることは難しいだろう。
と話しています。
このほかにも、あらゆる「地球温暖化は嘘」という説がありますが、どの説も「地球温暖化と温室効果ガスは無関係」ということを完全に示してはいません。
地球温暖化と温室効果ガスが無関係であるかどうか、誰もはっきりと言えないのです。
その背後で、温室効果ガス、主に二酸化炭素の排出量は増えています。
2008年には世界中で295億トンだった二酸化炭素排出量は、10年後の2018年には325億トンになっています。
温室効果ガスと地球温暖化が無関係であるとはっきりわからない以上、このまま温室効果ガスの排出量を増やして何かあってからでは遅すぎるのです。
私たちの生活のツケを、22世紀に生きる子供たちがすべて背負わなければならないかもしれません。
できるところから温室効果ガスの排出量を抑える取り組みをすることが、最も望ましいのではないでしょうか?
子供も参加!家庭でできる地球温暖化対策5つ
地球温暖化対策というととても大きな事業のように思えてきますが、少しの工夫で地球温暖化防止に貢献することができます。
子供も大人も一緒にできる、家庭での地球温暖化対策を6つ紹介していきます。
エコバッグの使用、包装の簡単なものを買う
スーパーなどでもらうレジ袋の原料はプラスチックで、石油を使った製品です。
作るときにはもちろん、捨てるときにも二酸化炭素を発生させるので、できるだけレジ袋の流通量を減らすことが、私たちが最も手軽にできる地球温暖化対策です。
レジ袋の代わりにエコバッグを使う人も増えてきましたね。
ポリエステルのエコバッグは石油由来の原料ですので、綿のエコバッグを持つのがおすすめです。
同時に、スーパーで買うものがどれくらい包装されているかもチェックしてみてください。
出来る限り包装が少ない野菜、お肉などを買うだけでもプラスチック製品の流通を減らせます。
居間で家族団らんの時間を持つ
家族がそれぞれの部屋で過ごすよりも、同じ部屋で過ごせば使う電気・冷暖房は少なくなります。
ひいては電気や冷暖房に用いられている二酸化炭素・フロン類の排出を抑えることにつながり、地球温暖化対策にもなるというわけです。
電気使用を抑えるという意味では、居間でみんなでテレビを見るよりもボードゲームをしたり、ゆっくり話をするのがよいでしょう。
家族の関係を深める時間としても活躍します。
その日学校であったことや、最近考えていることなどを家族で共有してみてはいかがでしょうか。
エコ・クッキングの意識を持つ
東京家政大学と東京ガスの共同研究によれば、水や電気、ガスの使用量を減らすエコ・クッキングの意識を持つことで24%の二酸化炭素排出量削減が見込めるとのことです。
研究では、普段通りに調理をして、そのときの水や電気、ガスの使用量、ゴミの排出量を計測、その後、講義を受けて改善していくように工夫する、ということが行われました。
本格的な講義は受けられなくとも、家庭でもエコクッキングの意識を持って調理に当たれば、自然と「水を出しっぱなしにしないでおこう」「ゴミをなるべく出さないようにしよう」と考えるのは間違いありません。
お子さんと一緒に、どうやったら少ないエネルギーでおいしい料理ができるかを考えてみるのもよいですね。
便器の蓋を閉める
便座が温かいタイプのトイレを使っている家庭では、使うたびに便器の蓋を閉めましょう。
1回に1秒もかからない簡単なことですが、家族で取り組めば1年間に最大17.5kgの二酸化炭素排出量削減に役立ちます。
おまけに電気使用量が減ることで電気代も1000円ほど安くなるというメリットもあります。
忘れないようにトイレに張り紙をしておくと、便座の蓋を閉める習慣がつきます。
車の使い方を見直す
車で10分以内で行ける場所を自転車・徒歩で移動すると最大で年間184kgの二酸化炭素排出量削減につながります。
そのほかに、車の使い方を見直すことも地球温暖化対策として有効です。
アイドリングストップをかける、加速・減速を頻繁に繰り返さない、冷暖房を使いすぎないといった工夫です。
普段は車で行っている場所も歩いていくと違う風景が楽しめたり、歩いている途中で話に花が咲くこともありますので、ぜひ家族みんなで挑戦したい方法です。
企業が行っている地球温暖化対策5つ
今や、企業はあらゆる環境対策に取り組んでいます。
清潔な水をアフリカに届ける運動、森林再生プログラムへの参加、商品のリサイクル活動データの公表など、ほぼすべての大手企業が環境対策をしているといっても過言ではありません。
ここでは、企業が地球温暖化対策として行っている様々な方法を紹介します。
以下で紹介する取り組みは多数の企業で行われていますが、代表的な企業の例を紹介することとしました。
新しい空調システムの導入
カメラや音楽機器でおなじみのSONYは、新しい空調システムの導入によって地球温暖化対策をしています。
SONYのタイ工場では、半導体を製造する部屋を作り直し、より少ない風量でも作業エリアを清潔に保てるような空調システムを導入しました。
これにより、年間4400トンの二酸化炭素排出量削減に成功。
製造現場の社員たちが、積極的に意見を出して地球温暖化対策に取り組んでいます。
鉄道輸送の利用
ビールや飲み物が主力商品のキリンでは、複合的な地球温暖化対策の一環として、鉄道輸送を取り入れています。
飲料業界で多くの二酸化炭素を発生させる原因となるのが、飲み物を運ぶときに使われるエネルギーです。
特に中長距離の移動では、トラックよりも鉄道の方が二酸化炭素排出量を減らせることがわかっています。
キリンでは鉄道輸送に適した紙箱を開発し、特許も取っています。
再生可能エネルギーの使用
医薬品製造、ワクチン製造を主な事業とする第一三共は、複数の開発センターに太陽光発電パネル・太陽光集光パネルを設置しています。
そのほか、品川研究開発センターではバイオマス発電によって生まれた電力を購入するといった工夫も。
また、富士フイルムは2019年1月に、再生可能エネルギーの導入設定目標を発表しました。
2030年度には購入電力の50%を再生可能エネルギーにするという目標です。
紙資源の削減
1990年代の終わりから携帯電話を使っている方は、最初に買った携帯電話の説明書の分厚さを覚えているかもしれません。
ですが、今や携帯電話の説明書は薄く、小さく、サインが必要な書類はペーパーレスとなり、タブレットにサインをした経験のある方も多いでしょう。
日本の携帯電話の3代キャリアの1つであるauは2009年から、携帯電話に同梱される取扱説明書の小型化を進め、紙の使用量を半分にしました。
同じく通信事業者大手のSoft Bankも、2011年からスマートフォンの使い方ガイドをアプリとして本体に組み込むことで、ペーパーレス化に取り組んでいます。
環境配慮型プライベートブランドの開発
環境に配慮したプライベートブランドを作ったのが、ファミリーマート。
1999年に発売開始した「We Love Green」商品は、製造・使用・廃棄時の環境負荷が低いのが特徴です。
手袋や荷造り紐などの日用品、文房具など幅広い商品展開となっています。
リサイクル率100%への取り組み
大手の飲料メーカーではリサイクル率100%を宣言している企業も多く見られています。
例えば、ミネラルウォーターでお馴染みのエビアンは2025年までに100%リサイクルされた再生プラスチックでペットボトルを作る取り組みをしています。
世界で行われている地球温暖化対策の具体例3つ
日本だけではなく、世界各国でも地球温暖化対策が行われています。
ここでは、3つの地球温暖化対策を見てみましょう。
歩くスクールバス
日本では小学生のうちは歩いて学校に行くケースが多いですが、諸外国では車を利用した通学が一般的な国も多いです。
例えば、オーストラリアもそのひとつでした。
子供たちが週5日学校に行くとすれば、短距離とは言え往復で10回車を使うことになります。
それを大多数の親が行えば、相当の二酸化炭素排出量になることも予測されます。
そこで、オーストラリアのメルボルン市が2003年から行っているのが「歩くスクールバス」です。
子供たちは、親と一緒に「バス停=歩くスクール場所の停留所」まで向かい、そこで「運転手」「車掌」という役割を担うボランティアと定められたルートを歩きます。
次のバス停では、また別の子供たちが待っています。
日本でいう「集団登校」にボランティアの大人がついていると考えるとわかりやすいですね。
帰りも同じようにボランティアと一緒に集団下校をし、定められたルートの途中にあるバス停で親と再会します。
この事業により、通学のための車の使用が減ったほか、地域とのつながりが深くなったという効果も得られました。
牛や羊のゲップからメタンを減らす餌づくり
6種類の温室効果ガスのうち、メタン類は家畜のおならやゲップにも含まれます。
アメリカの雑誌「WIRED」によれば、牛1頭が1日に排出するメタン類は最大で320Lにもなるとのこと。
世界では飼育されている牛だけでも14億頭いることを考えると、牛が地球温暖化に与える影響も馬鹿にはできません。
そこで、各国の研究者が牛のゲップ・おならに含まれるメタンを減らす研究をしています。
2018年にはカリフォルニア大学デイヴィス校が、牛の餌にある海藻を1パーセント混ぜることでメタン排出量を最大50%まで抑えることに成功しました。
ただし、実験の期間はわずか2週間ということで、今後さらに長期的に牛に海藻入りの餌を与えるとどうなるかは未知数。
そして、良い結果が出たとしても、すべての牛に海藻を与える体制を整えるには時間が必要です。
今後の研究の進展に期待したい部分ですね。
グリーンボンド国債
国債とは国や地方公共団体が資金調達のために発行する借用証書です。
買うほうはお金を貸していることになりますから、償還日と呼ばれる満期日には償還金を受け取り、定期的に利子も受け取れます。
一種の投資と考えてもよいでしょう。
その中でグリーンボンド国債は、温暖化対策・環境プロジェクトのための資金調達を目的として発行された国債を指しています。
私たちがグリーンボンド国債を買うことで、買ったお金は環境保全や省エネルギーのためのプロジェクトに使われます。
ほかの国債と同じように償還日が来れば償還金を受け取れますし、利子もあります。
このグリーンボンド国債を発行する国も増えてきています。
例えばフランス財務省は2017年に3回グリーンボンド国債を発行、4回目の発行では応募超過が起きました。
インドネシア政府は2018年にアジアでは初めてグリーンボンド国債を発行、利回りは3.75%と普通に日本の銀行に預けておくよりもかなり高めです。
ほかにもリトアニア、アイルランド、ベルギーがグリーンボンド国債の発行を行っており、今後世界にこの流れが広がる可能性もあります。
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まとめ:石油製品・化石燃料の使用を見直しする必要がある
私たちが便利な生活を楽しむ後ろで、地球温暖化は進んでいます。
嘘である、ねつ造であるといった説もありますが、どの説も温室効果ガスと地球温暖化がまったくの無関係だとは証明できていません。
22世紀を生きる私たちの子供、孫が暮らす地球を守るには、一刻も早い取り組みが必要です。
難しいことではなく、石油由来製品の使い方の見直し、節電や冷暖房の調整といった簡単なところからでも地球温暖化対策が可能です。
将来の人類のために、今できることから少しずつ始めてみませんか。
ぜひ、コメントやシェアをよろしくお願いします。
気候変動 瀬戸際の地球 薄氷の北極海へ|ナショナルジオグラフィックhttps://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/magazine/16/122100004/122100005/IPCC第5次評価報告書特設ページhttp://www.jccca.org/ipcc/ar5/wg1.html
Global risk of deadly heat|Nature Climate Change}https://www.nature.com/articles/nclimate3322
温室効果ガスの種類|気象庁https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/chishiki_ondanka/p04.html
日本のエネルギー|資源エネルギー庁http://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/pdf/energy_in_japan2017.pdf
一酸化二窒素|気象庁https://ds.data.jma.go.jp/ghg/kanshi/ghgp/n2o_trend.html
世界と日本の二酸化炭素(CO2)排出量|日韓温暖化新聞アーカイブ
http://daily-ondanka.es-inc.jp/basic/data_05.html
世界の昨年のCO2排出量は横ばいから一転増加 IEA報告書|サイエンスポータルhttps://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2018/03/20180329_01.html
CRU climate scientists ‘did not withhold data’|BBC NEWShttps://www.bbc.com/news/10538198
家庭でできる地球温暖化対策|南房総市http://www.city.minamiboso.chiba.jp/0000000772.html
家庭におけるエコ・クッキングの実践がCO2削減に及ぼす影響https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhej/59/11/59_11_903/_pdf
地球温暖化問題について考えよう!~私たちにできること act locally from kagawa~|香川の環境https://www.pref.kagawa.lg.jp/kankyo/chikyu/act-locally/3.htm
サステナビリティレポート|SONYhttps://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr_report/environment/site/ghg.html
地球温暖化|KIRINhttps://www.kirin.co.jp/csv/eco/mission/warming.html
省エネルギー・地球温暖化防止への取り組み|第一三共株式会社https://www.daiichisankyo.co.jp/corporate/csr/environment/global_warming/
ニュースリリース|富士フイルムhttps://www.fujifilmholdings.com/ja/news/2019/0110_01_01.html
環境保全|SoftBank
https://www.softbank.jp/corp/csr/global-environment/environment/
〈お知らせ〉 au携帯電話の取扱説明書と個装箱の小型化による紙使用量の削減について|KDDIhttp://www.kddi.com/corporate/news_release/2009/0129a/
商品のとりくみ|ファミリーマートhttp://www.family.co.jp/company/csr/environmental_initiatives/goods.html
海外の取り組み事例|全国地球温暖化防止活動推進センターhttp://www.jccca.org/trend_world/activity_case/
牛の「おなら」と「げっぷ」を退治せよ──科学者たちの大真面目な温暖化対策|WIREDhttps://wired.jp/2019/01/09/strange-war-against-cow-farts/
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