昼間まで働いているカフェで大好きな焼売を作り「今日もご機嫌♪」という連絡をもらっていた彼女の態度が、夕方に一変した。
「どうしたの?」と聞くと「あなたはいつも他の女と一緒にいる。もう連絡しないで。」とメンタルが崩壊しそうな時の彼女が使う最終兵器が飛び出してきた。
いきなりの変わりようでビックリしたが、べつにそんな事実は無いので「どうしたの?」と改めて聞くと「昨日の夜はお母さんの調子が悪くてずっと寝てないの。お母さんがずっと苦しそうなの。」ということらしい。
数日前にも病院に連れて行くのにお金を貸してほしい、という連絡がきたので状態が良くないことは知っていた。
病気で苦しんでいることは良くないことなんだけど、自分のなかに「彼女と母親の関係性」に羨ましさを感じた。
正直にいうと僕自身「自分の母親はいつ死んでもいいと思っているし、死んだらスッキリする。」と心のどこかで思っている。
どこかで憎い気持ちがあって「ザマァみろ。」っていうのがあってしまう。素直に悲しめないだろう。
イヤ、実際に死んだら悲しめるのかもしれないという期待もある。
自分と母親は血がつながっている。
でも彼女と母親は義母、養女という関係なので血がつながっていない。
そんな関係であっても彼女が母親を大事にするのを垣間見ているので、十二分に愛されたんだろうな。というのがヒシヒシと伝わってくる。
それから、生みの親に捨てられてしまった彼女にとっては、母親(義母)が唯一の頼れる人であり、その母親がなくなってしまうかもしれないという恐怖と一生懸命戦っているんだろう。
僕は子供の頃から、ずーっと長い間「愛せれたい」と心の中で叫んでいたけど、愛されると愛してくれた人を失う恐怖がものすごいんだろうなぁ、と愛されるがゆえに得てしまう恐怖もあるんだと知った。
それでもやっぱり、愛を与える事ができる人間に僕はなりたい。
愛されない孤独は、愛してくれた人を失うのと同じくらい、いやそれ以上に苦しいのは間違いないからだ。
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