2020年、オーストラリアで起きた大規模な森林火災は、日本の本州の面積半分に値する森林を焼き尽くしてしまったことを知っていますか?
簡単に言うと、青森県から長野県までが全焼。西日本で言えば、長野県から山口県までが全焼したと考えるとイメージがつきやすいと思います。
アメリカのNASAは、
「このままのスピードで森林破壊が進めば、世界の熱帯雨林は最短100年以内に完全に姿を消してしまうだろう」
と衝撃的な予測をしています。
なぜ、世界ではこのような森林破壊が急激に進んでしまっているのでしょうか?
実は、森林破壊の問題は森林伐採よりも深刻な原因があるのです。
世界ではどれだけ森林破壊が進んでいる?日本が57年後にまるまる砂漠に!?
世界では、ものすごい勢いで森林が減っているのですが、どのくらい急激に減っているか想像できますか?
先程の表を見るとわかるのですが、2010~2015年の間に地球からは330万8千ヘクタールもの森林が減っています。
この330万8千ヘクタールというのは、なんと日本で1番大きな湖である琵琶湖5つ分の面積に匹敵します。
つまり、毎年琵琶湖1つ分もの森が地球から消えてしまっているのです。
ちなみに、日本の面積は3780万ヘクタールなので、計算すると「57年後」に日本がまるまる砂漠になるようなスピードなのです。
森林破壊が進んでいる国TOP10
こちらが、2010年から2015年にかけて森林減少面積が最も大きかった国ワースト10です。
ブラジルなどの南米や、東南アジア・アフリカ大陸の国々ばかりが並んでいます。
なぜ、これらの国々は「世界で最も森林が減少した国」としてランクインしてしまったのでしょうか?
その原因について詳しく見ていきましょう。
ワースト1位のブラジルではアマゾンに深刻な….
「1分間でサッカーコートの1.5倍の面積の森林が消えている…」
これが、2019年のブラジルで起きている森林破壊の惨状です。
アマゾンは世界最大の熱帯雨林で、大気中の酸素の約20%生産していると言われています。
後で詳しく見ていきますが、アマゾンの熱帯雨林が急激に減少することは地球温暖化を大きく加速させ、さらなる森林破壊の原因となるのです。
↑そして、2019年5月、アマゾンの森林破壊が今までにないほど急激に破壊され始めているのです。
その原因は、ブラジルで2019年1月に就任したボルソナロ大統領が大きく関係していると考えられています。
ジャイール・ボルソナロ大統領が公約通りに環境規制を緩めたことに乗じて、伐採や農地開拓が増加しているのです。
ワースト2位:インドネシア
インドネシアはアジアで最大規模の森林面積をもつ国ですが、その森林はものすごいスピードで破壊されています。
特にスマトラ島の森林破壊はすさまじく、目をそむけたくなるほどです。
1985年、スマトラ島の58%は森林で覆われていましたが、約30年後の2016年には、なんと24%まで減少しています。
「30年で島の森林の半分以上がなくなってしまった。」
というのですから驚きです。
その森林破壊の大きな原因となっているのは、私たちにも身近な「紙」と「パーム油」。
↑昼間なのに、野焼きの影響で真っ赤に染まってしまっています。
インドネシアの森林火災、オランウータンが煙で呼吸器感染症に pic.twitter.com/84YFvYIpnn
— ロイター.co.jp (@Reuters_co_jp) September 29, 2019
野焼きの影響を受けているのは、人間だけではなく、森の動物たちも呼吸困難になるほど苦しんでいます。
現在インドネシアでは、製紙・パーム油産業がとても盛んで、世界中へ輸出しています。
製紙用の植林地やアブラヤシの農園を作るため、多くの森林が農地にされ、利用されているのです。
ワースト3位:ミャンマー
ミャンマーでは、最近の5年間で東京都約2.5個分の大きさの森林面積が減少しています。
これだけの森林面積が減った原因としてもっとも大きいのは、国内の木材需要を満たすための商業伐採です。
一方で、ミャンマー政府は森林保護の方向に傾いており、2014年4月には木材の切り出しが禁止されています。
しかし、禁止された分だけ違法な伐採やプランテーションが拡大し、今でも森林破壊は深刻な問題として残ったままなのです。
アマゾンより4倍も深刻な森林火災が発生したオーストラリア
↑オーストラリアでは2019~2020年にかけて深刻な森林火災が問題となっています。
シドニーのあるニューサウスウェールズ州ではすでに、2019年で起きたアマゾンの森林火災の4倍以上の面積が燃えていることをしれば、どのくらい深刻な問題かわかると思います。
始まりをみてみると2019年の9月から所々で火災が発生していることがわかります。
しかし、2019年12月には東海岸が全面的に燃えていることがわかります。
事態は先ほど紹介したアマゾンでの森林火災や、これから紹介するアフリカの森林火災を超えるものだと言われています。
ちなみにオーストラリアの森林火災の原因は「高温による自然発火」とのことです。
2019年12月にナラボーという地域で49.9℃を記録。オーストラリア全土でも46℃を超える地域が各地で相次ぎました。
実は、アマゾンより深刻?アフリカの国々もランクイン
↑アマゾンの森林火災が深刻として取り上げら得ていましたが、実はそれ以上に深刻なのがアフリカです。(動画の右がアフリカ、左がアフリカの森林火災の様子)
森林火災の原因は、農業地をつくるための野焼きです。
アフリカ大陸は、世界で一番飢餓率が高エリアであることが知られているとおり、食糧問題は大きな問題です。
ナイジェリアではたった1年間で、東京ドーム約8.8個分の41万ヘクタールの森林面積が減少し、砂漠化・水不足・干ばつが拡大しています。
また、国家森林監督評価庁(NAFORMA)が2015年に発表した調査によると、最貧国のタンザニアでは最大約2000ヘクタール分の深刻な木材供給不足が発生しています。
その影響で伐採が増え、年間37万2千ヘクタールの森林面積が減少しています。
ジンバブエやコンゴでも、年間に東京ドーム6.4個分である31万ヘクタールの森林破壊が進行しています。
食糧問題だけではなく、いまだに燃料を薪などに頼ることが多いアフリカの国々では、森林破壊が進んでしまっています。
北極圏も深刻な事態に
↑実は人里離れた北極圏でも、大規模な山火事によって深刻な森林破壊が起きているのを知っていますか?
北極圏で2019年6月~7月の約1ヶ月で観測された山火事の数は、なんと驚異の100件以上。「前例のない異常事態」と言われています。
1日で約3件の火事が起きているなんて、とても想像しがたい回数ですよね。
大きな原因は地球温暖化。北極圏の今年6月の気温は明らかに異常で、1981年~2010年の平均気温を10度近くも上回っています。
地球温暖化は北極の氷を解かすだけではありません。気温が上昇したことで山火事が発生しやすくなり、大規模な森林減少にダイレクトにつながるのです。
なぜ?森林が減っていく理由6つ
大規模な森林破壊が、世界中で進行していることを分かってもらえたと思います。
では、「森林が減っていく理由」はどのようなものがあるのでしょうか?
森林破壊が起きる理由はすべて、日本に住む私たちと無関係ではありません。
世界的に増える人工を支える食糧を支えるための農地利用
FAOの「世界森林白書2016」によれば、熱帯雨林における森林破壊の約8割が農地開拓であるとされています。
現在、世界では爆発的に人口が増えています。それによって起きているのが食糧不足問題です。
その食糧不足を解決しようとして、森林が切り開かれ農地が作られている、ということです。
非伝統的な焼畑農業
「伝統的」な焼畑農業では、森林の再生力を保つために「休閑」とよばれるあえて農地利用しない期間をつくります。
しかし、「非伝統的」な焼畑農業は休閑をつくらずに使い続けるため、森林が再生しにくくなってしまいます。
伝統的なものとは違って、環境に大きな負担をかける非伝統的な焼畑農業で土地を使い続ければ、森林を再生させることすらも難しくなってしまうということなのです。
木材の調達
資料:GLOBAL NOTE 出典:UNCTAD
↑このように、世界では木材の消費が30年で2倍に伸びており、森林が急速に減る理由が、この木材の調達がひとつの理由なことは明らかです。
輸入額が多いTOP3は、次の通りです。
1位:中国
2位:アメリカ
3位:日本
輸入する国があるからこそ、輸出する国は森林を必要以上に伐採します。
日本も多くの木材を輸入することで、世界で今まさに起きている森林破壊の原因となっているのです。
気候変動・干ばつ・森林火災
日本人の私たちからすれば、気候変動や干ばつにはあまり馴染みがないかもしれません。
しかし近年、気候変動による森林の減少が世界のいたるところで増えています。
もともと森林火災の多いブラジル、アメリカ、北極圏、オーストラリア、アフリカなどでは、ここ数十年で山火事、森林火災の件数が爆発的に増えているためです。
その最も大きな原因の1つは、地球温暖化と言われています。
アメリカの米農務省森林局は
「(アメリカ・カリフォルニア州にある)シエラ・ネバダ山脈地帯は、最悪の事態がいつ起きてもおかしくない状況にある。もし火災が起きれば、生態系にとって過去数千年、人類が経験したことのないような森林火災になるだろう」
と予測しています。
森林火災による森林減少はさらに温暖化を引き起こし、それがまた森林火災を発生させるという「負のループ」は、取り返しのつかない事態になる前に断ち切らなくてはなりません。
酸性雨
酸性雨とは、酸度が強まった雨のことです。
酸度が強くなると、植物の成長に影響が出るとされています。
雨の酸度が強くなるのは、化石燃料の燃焼によって発生する二酸化硫黄や窒素酸化物が化学変化を起こして雨に溶け込むことが原因です。
さらに、降った酸性雨は土壌に溶け込んでたまっていくので、長い期間にわたって森林が成長しにくい土地を作り出してしまうのです。
スキー場・ゴルフ場などのレジャー施設の開発
スキー場やゴルフ場など、自然の中で行うレジャー施設の開発も森林面積の減少させています。
特にゴルフ場は切り開く森林の面積が大きいため影響が大きいとされています。
ゴルフ場設置のために切り開く面積は、なんと東京ドーム十数個分に及ぶこともあるほどです。
森林減少がなぜ深刻な問題なの?
では、森林減少がどうして深刻な問題なのでしょうか。
ここまででも見てきましたが、さらに詳しく、具体的な影響を見ていきましょう。
砂漠化して食物が育たなくなる
グラフにあるように、アジア・ヨーロッパ・南アメリカでの砂漠化の原因の60%以上が森林減少と過放牧によるものであると報告されています。
「非伝統的」な焼畑農業のように土地を休ませない耕作をすると、土地の「砂漠化」が進行します。
砂漠化した土地には植物に必要な栄養素が少なく、砂が簡単に移動するため植物が大きく育つための根を張ることもできません。
そのため、いったん砂漠化した土地を元に戻すのは簡単なことではないのです。
砂漠化によって食物が育たなくなってしまうと、違う土地に耕作や放牧・伐採が集中し、さらなる砂漠化が進む原因となってしまいます。
気候変動が原因で洪水が起こりやすくなる
2018年の西日本大豪雨や2019年千葉県を襲った台風15号など、最近は「異常気象」という単語をよく耳にするようになったと思います。
実はこの異常気象も、森林破壊の影響が大きいといわれているのです。
全米気候評価(NCA)の報告書にある予測には、森林破壊によって温暖化が進めば、ハリケーンはさらに強力になると書かれています。
悪いニュースはそれだけではありません。
温暖化は風速を下げる影響もあるので、ただでさえ強力なハリケーンが、より長い時間同じ場所に雨を降らすようになります。
当然降水量は増え、その結果として洪水が起こりやすくなってしまうのです。
くわえて、森林が持つ保水効果(地下に水分をためておく効果)も奪うため、土砂崩れなどの二次災害の被害がますます広がってしまう恐れが高まっています。
食物連鎖をくずすしてしまう
森林破壊は、食物連鎖にも深いキズを残してしまいます。
原生林には私たちが想像するよりずっと多くの生き物が、食物連鎖という絶妙なバランスでつながった鎖の上で暮らしています。
例えばインドネシアの生物多様性はすさまじく、32万種以上の生物が食物連鎖を構成しています。
プランテーションは一見すると緑が広がっているように見えますが、同じ種類の植物だけを植えて管理しているので、そこに住める生物だけで食物連鎖が作りなおされてしまいます。
地球上の食物連鎖は全てつながっているので、森林の食物連鎖がくずれた影響は陸地にとどまりません。
国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の「生物出現レコード」を見ると、海洋生物のほとんどが海洋面積の0.6%の大きさしかない沿岸部に生息していることがわかります。
これは、森林から川を通って流れ込んでくる豊富な栄養素があるためです。
森林の生態系が破壊されてしまうとこの栄養素は海に届かず、その周辺の海洋生物の食物連鎖すらもくずしていきます。
生物多様性は一度失われてしまうと少なくとも数十年、場合によっては完全に回復することは永遠にないという意見すらある深刻な問題なのです。
地球温暖化を加速させ、さらに森林破壊を加速させる
山火事の専門家であるカナダ・アルバータ大学のマイク・フラニガン氏は、「地球が温暖化すれば森林火災は増加する」と指摘しました。
ここまでで何度も見てきたように、地球温暖化は、それだけ森林破壊と深い関係をもっています。
森林が減ると、温室効果ガスである二酸化炭素が大気中に増えて地球温暖化が加速します。
温暖化で気温が上昇すると森林火災や砂漠化などが進み、さらなる森林破壊の原因になってしまうのです。
事実、世界各国で「前例のない」森林火災が気温の上昇と共に発生していることは紛れもない事実なのです。
紛争や貧困などの社会問題を引き起こす
森林破壊が進むと、
・異常気象による農業やインフラへのダメージ
・生態系が崩れることにより自然にとれる食糧が不足
・地球温暖化がさらに加速し森林の減少を早める
など社会問題をも引き起こしていきます。
そして、森林を生活の糧に暮らしている人口は世界で16億人にものぼるとされており、そういった人たちが森林破壊の影響を一番最初に受けることになります。
食べ物や職業を失い、生活が苦しくなり、それがまた他の社会問題を引き起こすトリガーになってしまうのです。
世界で森林が増えている国TOP10
これまで森林破壊の惨状について見てきましたが、実は森林面積が増えている国もあります。
初めに見た森林面積の減少を割合についてよく見ると、減少速度が年々減っていることがわかります。
これは、森林の増加に成功している国もあるからです。
では、森林面積が増えている国TOP10のデータから、これから森林面積を回復させていくにはどんな取り組みが必要なのかを一緒に考えてみましょう。
中国で森林が増え続けている理由は「砂漠化防止活動」の成功
中国は、世界で森林面積を増加させている国ダントツの1位です。
表によると、中国の森林増加面積は154万2千ヘクタールで、2位のオーストラリアと5倍以上の差をつけています。
中国で森林が増え続けている理由は、30数年にもおよぶ砂漠化防止の取り組みが実を結んだためです。
中国は国土の20%以上が砂漠となっており、以前から長い間、過剰な伐採などが原因の砂漠化に悩まされてきました。
しかし、中国政府は積極的に森林回復に取り組み、現在では大幅な緑化に成功しています。
代表的な活動が「砂の移動防止」の取り組みです。
↑少し触れましたが、砂漠化した土地に植物が育たないのは、黄砂が移動して根がはれないからです。
そこで中国では、砂漠に「PLA」と呼ばれる砂の移動を防止するホースや「スナヤナギ」という植物を網目状に張り巡らして砂の移動を50%以上も防止。
植物が育ちやすい環境を作ることに成功したのです。
オーストラリア
国土の20%が砂漠であるオーストラリアでも、緑化活動が盛んに行われています。
メルボルンでは、「路地をグリーンに」というプロジェクトの名のもと、市民を巻き込んで210ヘクタールもの大規模な都市緑化が行われました。
首都シドニーでは「サスティナブル」、つまり開発によって地球環境を破壊しないことを基本の考え方として、緑化を進めています。
例えば再開発で建てる建造物に「壁面の緑化」をほどこして近代的な都市でありながらも同時に緑化を進めているなど、自然に優しい文明づくりの先頭を走っている国なのです。
チリ
チリにおいても、約30万ヘクタールの森林が増加しています。
これは、大規模な植林地を作り、長年取り組んできた植林のたまもの。
しかし実は、チリの植林は森林保全のためではなく「産業用の木材」を作るために行われています。
産業用に適した単一の木材しか植えないため、生物多様性が失われてしまう可能性が問題視されているのです。
インド
インドも意外と思われる国の一つですが、緑化に成功しています。
これまで耕地開拓によって森林破壊が進んでいたインドですが、改良された肥料などのおかげで耕地面積を増やさずに食糧生産量をキープすることに成功しています。
その影響で森林伐採の必要性が減り、森林面積にも回復の兆しが見えているのです。
ただ、「森林」の定義が広がったこともインドの緑化に大きく関係しています。
これまで「森林」の定義には、次の3種類は含まれていませんでした。
- 果樹園
- コーヒー畑
- 紅茶畑
しかし、新たにこれらが「森林」として認定され、面積の計算に加えられるようになったことで、インドの森林面積が大幅に増加したのです。
【日本の森林問題】増えているけど、壊れている…
グラフを見ると、日本の森林面積は増え続けているので、日本は植林活動に成功していると思うかもしれません。
しかし、良く見てみると、人工林の増加量が大きいことが分かります。
そして現在、手入れ、管理がされなくなった人工林が、「森林荒廃」、「緑の砂漠」という目には見えにくい問題を引き起こしています。
「緑の砂漠化」により生態系がくずれている
スギやヒノキなどの人工林は、一見、緑が豊かな森に見えます。
しかし実態はというと、人工林のまわりには、他の種類の植物が生えてきません。
シカやイノシシの餌となる木の実や、枯れた気に生息するカブトムシなどが住むのにも適していないのです。
緑が広がっているように見えても、生物多様性の面では砂漠のように枯れはてています。
この「緑の砂漠」の影響で、エサが取れなくなったクマやサル、イノシシなどが人間の住む地域に出没して危害を加える原因になっているとも言われています。
森林荒廃は土砂崩れ、洪水、地下水の枯渇を招く
台風による土砂崩れ、地下水の使いすぎによる地盤沈下が日本でも大きな問題となっていますが、この原因の1つが人工林の「森林荒廃」(管理されていない荒れた人工林)です。
人工林は荒廃が進むと、天然の森林がもたらす水源涵養機能(森林が山や川の水の量を安定させる機能)をなくします。
つまり、雨が降っても森林(天然のダム)に蓄積されず、そのまま急な斜面や川に流れるため、土砂崩れ、洪水を起こしやすくなります。
さらに、流れ出てしまった水は、本来、森林にたまり、私達の生活にかかせない地下水になるはずでした。
しかし、地下水がたまらないため、日本中で地下に空洞ができ、地盤沈下をもたらしています。
このように、管理の行き届いていない壊れた森林は、保水力を失い土砂災害に発展したり、生物多様性も大きなダメージを与えます。
適切な森林管理のために、2019年現在では「森林環境税」という税金について国会で議論が進められています。
日本で森林が増え続けている理由:70%は海外からの輸入
1950年代、日本では大規模な森林伐採が行われ、資源として利用しやすいスギやヒノキの植林が盛んにおこなわれました。
しかし、日本のバブル経済が弾けるともに、海外から低価格の木材が輸入が激増し、日本の林業は価格競争に負け、どんどん衰退しています。
さらに、現在は、高齢化や職業離れが進み、ますます人工林の手入れや管理ができない状態が続いています。
国産の木材供給率は30%しかなく、せっかく植林した人工林の資源はほとんど使われていないのが現状なのです。
「日本の森林の約4割を占める人工林を、いかに管理して利用していくか」ということは、日本が抱える重大な課題なのです。
森林破壊を防ぐために私達ができる対策4つ
私たちは、森林破壊を防ぐために何ができるのでしょうか?
すぐに始められる、身近な4つの対策方法をご紹介します。
食べ物をムダにしない
「食品ロス」を減らすだけでも、森林破壊を防ぐ手助けをすることができます。
廃棄された食品は温室効果ガスを発生させ、地球温暖化を加速させてしまいます。
食べ物を捨てる量を減らせば、その分だけ森林破壊が進むスピードを遅くすることができるのです。
日本と世界の食品ロス(フードロス)対策11つ。クリスマスケーキ、恵方巻きだけじゃない… >
検索するだけで植林できる「ECOSIA」を使う
検索エンジンと言えば、まずGoogleが思い浮かぶことが多いのではないでしょうか。
しかし、実はもっと環境に貢献できる検索エンジンもあるんです。
ECOSIAは「検索するだけ」で植林することができる画期的な検索エンジン。
検索されることで発生する広告収入の80%をWWFに寄付することによって、あなたの「検索」が「緑化」につながる、素晴らしい仕組みなのです!
再生紙を利用する
紙を買うときにあえて「再生紙」を選ぶだけでも、森林破壊の防止に影響を与えることができます。
新しい紙が必要になるからこそ新しく木が切り倒されていくので、その「需要」を減らせれば自然と伐採も減っていくのです。
環境保全ボランティアに参加する
メジャーな方法ですが、環境保全のボランティア活動に参加すると、より直接的に緑化に関わることができます。
日本でも定期的に開催されているので、ぜひ参加してみてください。
まとめ「日本も森林を消費している」
日本に住んでいると、どうしても世界で起きている森林破壊について具体的にイメージするのは難しいと思います。
しかし、わたしたち日本人の生活で使われる多くのものが海外の資源に依存しています。
つまり日本も消費することによって、海外の森林破壊を促進しているのと同じ状況です。
そして、日本で進んでいる森林荒廃の問題は、やがて私達の生活を脅かすことに結びついています。
私たちのちょっとした心がけを積み重ねるだけで、悲惨な未来は変えることができます。
一歩ずつ、一つずつ、確実に問題を改善していきましょう!
https://ideasforgood.jp/issue/deforestation/
CNN.co.jp : アマゾンの森林破壊が加速、毎分サッカー場の1.5倍 https://www.cnn.co.jp/world/35139449.htm
CNN.co.jp : 北極圏で相次ぐ山火事、「前例のない異常事態」 温暖化加速の恐れも – (1/2)
https://www.cnn.co.jp/world/35140402.html
インドネシア スマトラ島の熱帯林の減少 |WWFジャパン https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/42.html
ミャンマーで森林伐採が横行、森林被覆率は既に国土の4分の1 | ミャンマー ビジネス トゥデイ Myanmar Business Today【ミャンマー経済ニュース】 http://myanmarbusinesstoday.jp/id/3036
【特別コラム】ミャンマーの森林破壊、東京ドーム11.6万個分が被害 | ミャンマー ビジネス トゥデイ Myanmar Business Today【ミャンマー経済ニュース】 http://myanmarbusinesstoday.jp/id/3217
Tanzania announces historic move to restore 5.2 million hectares of degraded land | WWF http://wwf.panda.org/?332953/Tanzania-announces-historic-move-to-restore-52-million-hectares-of-degraded-land
ナイジェリアの森林は12年後に全消滅、専門家が警告 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News https://www.afpbb.com/articles/-/2372238
いま、酸性雨はどうなっているの? – ウェザーニュース https://weathernews.jp/s/topics/201905/290115/
業種別の概況 https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabizi/result-2/h16/pdf/h16-t-09.pdf
FoE Japan | 砂漠緑化 http://www.foejapan.org/desert/area/what.html
森林と気候変動~岐路に立つREDD~ https://www.wwf.or.jp/activities/data/living_forests_chapter_3_jp_0331.pdf
森林と海の関係 – 森・川・海のつながり https://www.shinrin-ringyou.com/topics/mori_umi.php
中国とインドが地球の緑地増加に寄与していた | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/03/post-11814.php
食品廃棄・フードロスと地球温暖化にどんな関係があるのか https://sugu-kan.com/food-wastage-footprint
日本の森林面積と森林蓄積の推移” https://www.shinrin-ringyou.com/forest_japan/menseki_tikuseki.php
荒廃人工林の管理により 流量増加と河川環境の改善を図る 革新的な技術の開発 研究期 間:平成21年10月~平成27年3月 研究代表者:恩田裕一 (筑波大学 生命環境系 教授)
https://www.jst.go.jp/crest/water/publication/pdf/CREST_Onda.pdf
森語り、水語り 森と水を科学する 天然水の森 サントリー
https://www.suntory.co.jp/eco/forest/pleasure/talk/8.html
生物多様性に配慮した森林管理テキスト2018年9月 国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
https://www.ffpri.affrc.go.jp/research/4strategy/18biodiversity/documents/text180930.pdf
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