OECD(経済協力開発機構)が最新の都市廃棄物(自治体で回収される家庭ゴミ、粗大ごみ)の1人当たり排出量をまとめた結果が発表されました。(2020年最新)
この記事の一番上にある画像をみてスイスやドイツ、ルクセンブルクがランクインしているので、「ゴミの排出量が少ない国」と勘違いした人も多いのではないでしょうか?
いいえ、違います。
もう一度確認しておきますが、これは一人あたりのゴミの排出量がが多い国順にランキングされたものです。
ちなみに、去年のランキングはこちらから↓
- 33位:日本(336kg/一人あたり)
- ワースト10位:アイルランド(582kg/一人あたり)
- ワースト9位:ドイツ(613kg/一人あたり)
- ワースト8位:ルクセンブルク(614kg/一人あたり)
- ワースト7位:アイスランド(673kg/一人あたり)
- ワースト6位:イスラエル(675kg/一人あたり)
- ワースト5位:スイス(705kg/一人あたり)
- ワースト4位:ノルウェー(736kg/一人あたり)
- ワースト3位:アメリカ(743kg/一人あたり)
- ワースト2位:デンマーク(771kg/一人あたり)
- ワースト1位:ニュージーランド(781kg/一人あたり)
- まとめ「リサイクル率が高くても、ごみ排出量が多いという問題も…」
33位:日本(336kg/一人あたり)
OECDに参加している36カ国の中で33番目にゴミの排出量が少ないことになりました。
336kgを1日換算にすると約920g、なんと約1キロものゴミをあなたは毎日捨てていることになります。
日本はスーパーで野菜が個別のビニール袋に包装されていたり、ビスケットやチョコレートなどのお菓子も個別に1つ1つ包装されたりと過剰包装で話題になりますが、世界的にみれば少ない量であることに驚きです。
それでは、海外ワースト10をみて、それぞれどんな事情を抱えているのかみていきましょう。
ワースト10位:アイルランド(582kg/一人あたり)
アイルランドでゴミの分別がされるようになったのは、2000年になってからで、現在ではゴミの回収は、業者との個人契約になっている稀な国です。
2006年にはワースト1位という不名誉な記録を残していますが、ここ10年で劇的に改善されてきており、リサイクル率34%という高水準を保っています。
ワースト9位:ドイツ(613kg/一人あたり)
ドイツは世界で3番目にリサイクル率(リサイクル率49%)が高い世界的にも環境先進国として評判が高い国です。
613kgのうち、半分がリサイクルされている計算になります。
しかし、世界で9番目に1人当たりのゴミの量が多いという事実には驚く人も多いことでしょう。
リサイクル(資源ごみ)として捉えられている分、ゴミの量も多くなっているのかもしれません。
ワースト8位:ルクセンブルク(614kg/一人あたり)
ルクセンブルクは人口60万人ほどで環境産業とエコツーリズムに力を入れている国です。
ルクセンブルクは1998年からリサイクル政策を開始し、現在では各家庭に分別用のゴミ箱が配られています。
ゴミを収集する専門の会社は、専用のゴミ箱(ゴミ袋)を用意したり、VAlorluxという専門のリサイクル会社にゴミを寄付する必要があります。
また、お店で無料でゴミ袋を手に入れることができるのはとても魅力的ですが、分別を厳密にしないといけないという責任もあります。
ただリサイクル率27.7%という高水準をたもっています。
ワースト7位:アイスランド(673kg/一人あたり)
「アイスランドの空気は世界で1番キレイ!」と言われるほど、自然がキレイな印象が強い国です。
しかし、驚くべきことにゴミの量は年々増加しており、しかも数年前までゴミの分別がほとんどされていないという問題も抱えていました。
現在では、観光がメインの産業にもなっており、観光者の増加によるゴミの増加も新しい問題となっています。
それでもリサイクル率25.5%と他のヨーロッパ諸国に、追いついてきています。
ワースト6位:イスラエル(675kg/一人あたり)
中東で1人当たりのゴミ排出量が1番多いのがイスラエルになります。
イスラエルは、日本以上にIT先進国であることでも知られており、「グーグル」、「マイクロソフト」、「インテル」などの企業が研究室を設置しています。
IT化が進みデジタル化が進んだ国でもゴミは多く出ているので、どんな事情があるでしょうか。
リサイクル率も7.24%と低く、同じ中東のトルコよりもゴミの量は40%少ない423kgです。
ワースト5位:スイス(705kg/一人あたり)
スイスも自然が豊かな国で、ゴミが少ないイメージの強い国ですが、世界ワースト5位です。
ただし、環境問題の意識は高くリサイクル率30.8%を誇るリサイクル大国でもあります。
今後、どのようにしてゴミを減らしていくのかが、課題となりそうです。
ワースト4位:ノルウェー(736kg/一人あたり)
ノルウェーのゴミ事情は、他の国と大きくことなります。
それは、ゴミを燃やすことで発電の50%をまかなっているからです。
しかもノルウェーだけでは、燃やすゴミが足らないことから、イギリス、アイルランドなどからゴミを輸入してまで、ゴミの量を増やしています。
リサイクル率は28.8%で、212kgのゴミ(1人当たり)がリサイクルされています。
ワースト3位:アメリカ(743kg/一人あたり)
アメリカは国単位で見た場合は、ゴミの排出量が世界1位ですが、人口が3億2千万人もいるので、1人あたりの量が少なくなっています。
それでも日本人のほぼ2倍のゴミを捨てているわけですから、大量生産・大量消費社会の見本のような国であることに間違いありません。
リサイクル率は25.8%と意外に高水準です。
ワースト2位:デンマーク(771kg/一人あたり)
デンマークはリサイクル率が27.2%で、ヨーロッパで11番目に高い水準の国です。
しかし、残念ながらゴミの排出量が世界2位という不名誉な結果になってしまいました。
日本人の倍のゴミを捨てているということで、私生活でゴミを捨てる習慣が根強いのかもしれません。
なぜ、こんなにゴミを捨てるのか理由は明らかになっていませんが、調べたら面白い結果が出てきそうですね。
ワースト1位:ニュージーランド(781kg/一人あたり)
ニュージーランドは人口400万人というとても小さな国ですが、日本人の2倍以上のゴミを排出しています。
去年まではワースト4位だったニュージーランドがなんとワースト1位という不名誉な結果に。
ひとりあたり740kgだったゴミの量が、なんと781kgと40kg以上も増えています。
なぜなのでしょうか?
少し調べると、
ニュージーランド最大の都市オークランドでは、「ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)な街を目指す」計画を2018年に環境地域員会が発表。
2019年にリサイクルが難しいポリ塩化ビニルやポリスチレン製の肉用トレー、テイクアウト売容器を段階的に禁止することを発表。
さらには
2020年には国内リサイクルセンターの開発に1億6000万ニュージーランドドルを投入。
と、環境対策はどんどんおこなわれています。
もしかしたら政策の反動(ゴミ捨てが有料になる前に大量に捨てるなど)で今のところゴミが増えていることも考えられます。
今後も様子を見守っていく必要がありそうです。
こちらが2020年の時点でOECDで発表されている最新のランキングです。
※中国、ロシア、メキシコを除く
まとめ「リサイクル率が高くても、ごみ排出量が多いという問題も…」
今回OECDが発表した1人当たりのごみ排出量ですが、プラスチックスの回収率が高いノルウェーや環境先進国として有名なデンマークがワースト4位以内だったことには驚きました。
ただし、一方で、イスラエルを除いてはリサイクル率が世界TOP20に含まれる国でもありました。
リサイクル率が高い国ほど、ゴミに対しての意識や抵抗が低くゴミの量が多くなるのかもしれませんね。
日本は過剰包装で騒がれることが多いですが、これは逆にゴミ削減の意識が高いからと言えるかもしれません。
ただ、日本のゴミ問題(最終埋立地)は本当に深刻な問題です。
コメント