いきなりですが、日本のゴミの埋立地(最終処分場)はあと20年で満杯になり、日本ではゴミを捨てられなくなることを知っていますか?
「そんなこと、あるわけないでしょ(笑)」
と思うかもしれませんが、今、いままでゴミを買い取っていた業者が、ぞくぞくと買取をやめています。
なぜなのかというと、これからお伝えするような現状があるからなんです。
世界で一番ゴミを燃やしているのに!日本の最終処分場は20年で使えなくなる!?
情報元:環境省
環境省は平成28年度のデータを基に「あと20年で日本全国のゴミの埋め立て場が満杯になり、ごみを埋め立てできなくなる」という発表を出しました。
日本は、2040年にはゴミを埋立てる最終処分場(埋立地)を失うことになります。
現在の日本では、年間5500万トンの家庭ごみが出され、400万トンの産業廃棄物が捨てられています。
日本だけで1日1.8億kg、普段食べているコンビニ弁当、ペットボトルなど家庭ごみだけでも1日1kg出しているのです!
日本は33位!『世界で一番ゴミを出している国ワースト10』をチェックする >
さらに、日本は焼却炉の数が世界1位(1243ヶ所、2位のアメリカ351ヶ所の約4倍)もあり、国土が小さいことから、ゴミを燃やして最小限の大きさにしてから埋め立てています。
しかし、それでも毎日大量のゴミが出ている日本では、ゴミ処理場が飽和しないようにするために、リサイクルできるゴミを資源ごみとして中国などの海外へ輸出していました。
しかし、2018年に中国がゴミの輸入を禁止を始めたことで、海外に頼っていた日本はゴミの捨て場を失っているのです。
これらのゴミの量やゴミの処理について、私たちは考える必要があります。
このままでは20年後にゴミを捨てることができない未来がやってくるからです。
海外でゴミの輸入が禁止されて、日本のゴミは行き場をなくしている
日本で処理しきれない廃プラスチックごみは、海外へ輸出することで何とかしていました。
ほとんどがアジアの国々に頼っていたのです。
しかし、海外でゴミの輸入が厳しい規制措置がとられています。
中国
情報元:日本貿易振興機構
廃プラスチックの輸入禁止の発端となったのが中国です。
2017年12月31日に「海外ごみの輸入禁止と固形廃棄物輸入管理制度改革の実施計画」が施行されました。
中国は1992年~2016年までの廃プラスチックの全世界輸入量のうち、約45%を占めていたほど輸入大国だったので、世界の廃棄物処理に大きな影響を与えています。
中国が廃プラスチックの輸入を禁止したことで、日本は他のアジア各国への輸出量が大きく増加しました。
2017年と2018年の上半期輸出量を比較しただけでも、その増加分がよく分かります。
タイ
日本貿易振興機構データ参照
タイ政府は一部の港で廃プラスチック積載のコンテナを荷揚げ禁止とし、2021年までに廃プラスチックの輸入を全面的に禁止する方針です。
タイも2017年は年間5.8トンだったのが、2018年上半期だけで2017年分の2倍以上にあたる14.4トンに増えています。
マレーシア
2018年10月に、すべての廃プラスチックごみの輸入を今後3年間で段階的に廃止する方針を表明しました。
↑そして、2019年には、違法にもかかわらず日本やアメリカヨーロッパ諸国から輸出されていた「汚れたプラスチック」を強制送還することをマレーシア政府は発表しました。
2021年にはプラスチックゴミの輸入事態が禁止になります。
マレーシアは2018年に中国が禁止した後、マレーシアが日本の最大の輸出先になっており、2017年の年間7.5トンから2018年の上半期10.7トンと20%も増えました。
インドネシア
2019年6月に「国内のごみ処理もできていないのに、新たにゴミを輸入できるはずはない」という発表がインドネシア政府から出され、インドネシアでもゴミの輸入が禁止されました。
ちなみにインドネシアは海洋プラスチックの流出量が、中国につぐ世界第2位となってしまっている海洋プラスチック大国です。
ベトナム
ベトナムは輸入する廃プラスチックの管理を厳しくし、リサイクルに伴う環境汚染を防ぐ動きが進んでいます。
古紙やプラスチックごみなど再利用できる場合には輸入を認めていますが、あくまでも環境に悪影響を与えないことが前提。
ベトナムも2017年は年間12.6トンから2018年上半期だけで8.8トンと増加にありました。
台湾
台湾の廃プラスチック輸入量は3倍近くにもなり、そのうちの10%強が日本からのもので国別では最大量となっていました。
2017年の年間9.1トンから2018年は半年で8.4トンに。
そのため、台湾も廃プラスチックの規制は厳しくなっています。
ラオス
ラオスではまだ規制がされていませんが、輸入制限・禁止を検討中です。
中国に禁止された日本は、他の国にさらに頼ることになり2018年の上半期だけでみても東南アジア各国への輸出量は、前年度と比較すると2倍以上になってしまっていました。
しかし、どの国も環境への配慮から廃プラスチックの輸入基準が厳格化されており、今後、海外への廃プラスチック輸出先が現れる可能性は考えられません。
そして2019年6月、ついに日本はプラスチックゴミの処理に手が追いつかなくなり、環境省は
- 一時的に保管できるプラスチックゴミの量を2倍に引き上げ
- 産業用のプラスチックゴミを焼却炉で燃やせるように要請
という緊急処置をとっています。
今後、日本の最終ゴミ処理場は寿命をドンドン縮めることになるのは間違いないでしょう。
「信じられない…」ゴミが捨てられなくておこる問題
廃プラスチックの行き場をなくし、日本のゴミ最終処分場でゴミが捨てられる年は残りわずか20年。
ゴミが捨てられなくておこる問題もあるのです。
有害ガス・悪臭による公衆衛生問題を引き起こす
「ゴミを捨てられなくなる」と、実際にどのような状況になるのでしょうか?
すでにゴミが捨てられなくなった韓国の義城群では、ゴミ処理場に許可された80倍ものゴミを溜めこみ、火災事故を発生させました。
火災の原因は、廃棄されたゴミからガスが溜まったことが原因で、周囲にはプラスチックが焼ける刺激臭が漂い地域住民にも大きな影響をおよぼしました。
このようにゴミが捨てられなくなってしまうと、有害ガス・悪臭による公衆衛生問題を引き起こすことになってしまいます。
不法投棄・不法な処理の増加
ゴミが捨てられなくなると、廃棄物の不法投棄が増えたり、不法な焼却が増えることも懸念されます。
不法投棄された廃棄物に有害物質が含まれていたとしたら、その物質が土壌や地下水などを汚染し、自然環境に悪影響を及ぼします。
土壌や地下水などが汚染され、自然環境に悪影響が及ぶと、生きていくために必要な水や食料の安全も脅かされてしまいます。
水質・地質汚染をもたらす
不適切に処理されたゴミや不法投棄されたゴミからは有害ガスや有害物質が排出されます。
また、このゴミ山ができてしまっているのは、農業が盛んな地域であり、ゴミ処理場から出るガスや汚染物が川や地下水に流れ込み、地域に住む人々の食べ物や生活にまで大きな害をもたらしていることは容易に想像できますね。
近年急増している、日本での土壌汚染の判明もこうした埋め立てたゴミが長期に渡り、有害物質を垂れ流してしまっている可能性も否定できません。
企業が取り組んでいるゴミ削減対策6つ
日本におけるゴミの埋立問題や廃プラスチックなどの環境問題から、企業が取り組んでいるゴミの削減対策について紹介します。
リサイクル率100%への取り組み
食品飲料メーカーなどでは、リサイクル率100%への取り組みに力を入れています。
例えば、飲料メーカーのエビアンでは、2025年までに100%リサイクルされた再生プラスチックでペットボトルを作り、プラスチックのリサイクルを増やすことで、廃プラスチックごみの削減と環境汚染を減らすことを目指しています。
さらに米国IBMでは、「VolCat」という最新技術によって、ペットボトルやプラスチックを熱と圧力だけで科学的にリサイクルできる技術を開発され、高品質なプラスチックの再生産が可能に!
このように今、多くの企業がリサイクル率100%のプラスチックを目指しています。
衣料品の積極的なリユース、リサイクルへの取り組み
衣料品店でも不要になった衣類などを積極的にリユースやリサイクルへの取り組みがされています。
ユニクロやジーユーでは、不要になった商品をいつでも店頭にある回収ボックスで回収を行っています。
H&Mの場合は、どんな衣類でもどのブランドも問わず、たとえ靴下の片方だけでも、古いシーツでも回収しており、割引クーポンを貰うことができるサービスも行なっているのでお得になる面もあります!
回収された衣類などは、衣料支援として世界各地の難民・避難民キャンプへ寄贈したり、電気エネルギーや工業繊維としてリユース・リサイクルされます。
プラスチックストローの廃止
プラスチックストローの規制・廃止を多くの企業が導入し始め、ニュースにもなっていたのでご存知の方も多いかもしれません。
一部を紹介しますが、
- スターバックス:2020年までに世界約28,000店舗で廃止
- マクドナルド:プラスチックストローから紙製ストローへの切り替え
- すかいらーく:プラスチック製ストローの廃止
- イケア:ストロー以外にも保存袋など使い捨てプラスチック製品7種類を全廃
このように小さなストローからも廃プラスチックの削減につなげる対策をしています。
レジ袋の規制や有料化
日本でもスーパーやコンビニ、ドラッグストアなどでレジ袋の有料化が2020年から義務付けられることになりました。
その他、衣料店などでも買い物袋を紙製に変更したり、一部有料化して、利用客にマイバッグの持参を呼びかけています。
使い捨てのビニール袋の使用量を削減することで、プラスチックごみの削減対策を行っています。
食品ロス・廃棄製品の削減
企業では賞味期限切れなどによる製品の廃棄の削減にも取り組んでいます。
製法や包装を変える
各コンビニやスーパーでは、サンドイッチやお惣菜などは製法や包装などを変更することで消費期限の延長を可能にし、食品ロスを減らしています。
ダイナミックプライシング
「ダイナミックプライシング」というAI(人工知能)に基づいて適正価格を決める仕組みは、食品にも使われ始めています。
(AIによって食品の消費期限、賞味期限が近づくと定価から値引きがされる!)
牛乳を買う場合などよくある話ですが、消費期限が少しでも長いものを買おうと後ろから取りがちになります。
ダイナミックプライシングを導入することで、何気なく後ろから取って購入していた牛乳にも価格差が生じるため、「賞味期限が近いけどこっちの方が安いから買おう。」と、”状況に応じて購入する”というきっかけになります。
結果的に、廃棄せざる得ない食品ロスの削減になるため、現在、企業での導入、実験がされています。
賞味期限切れを販売する店舗
「ルピシア ボンマルシェ」代官山店(東京都渋谷区)では、賞味期限切れのクッキー缶やチョコレート、お茶、梅干し、調味料などを20円均一で販売している。入荷は不定期のため扱いのない日もあるが、定価で4千円を超える高級品が出たこともあり、1商品5点までと購入制限を設けるほど大人気だ。
情報元:Sannkei biz
最近は、こうした賞味期限切れの商品を扱うお店も増えてきています。
まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品を安全確認した上で、店頭で安く販売することで、食品ロスの削減につながっています。
廃棄物の分別を徹底したゴミの削減
オフィス内の取り組みでもリサイクルしやすいように廃棄物の分別を徹底したり、廃棄物自体の量を削減することに取り組んでいます。
また、ホテルなどの施設でも、アメニティを使い捨てから詰め替え式に切り替えるところも多くなっているようです。
国や企業などでもゴミ問題に対して、さまざまな対策を始めたことで、残余年数は21.8年になりました。
(平成29年度末現在)・残余容量1億287 万m3(前年度9,996 万m3)[2.9% 増]・残余年数21.8年(前年度20.5年)
それでもまだ21年です。
私たちが取り組めるゴミの削減対策5つ
こうしたゴミ問題は、国や企業だけでなく、私たちが取り組めるゴミの削減対策もあります。
1.ごみになるものを断る:Refuse(リフューズ)
まず、ゴミの量を減らすためには、ゴミのもとになるものを買わないこと。そして貰わないことです。
例えば、
- マイバッグを持参してレジ袋は使わない
- 過剰な包装は断る
- マイ容器やマイ箸などを使う
不要なものを貰わない、本当に必要なものだけを選ぶことを心がけましょう。
2.なるべくゴミを作らない:Reduce(リデュース)
ゴミをムダに生み出さないことも大切です。
例えば、
- 食品を買いすぎない
- 料理を作り過ぎない、食べ残さない
- 商品購入時に再生品やエコマークをチェックする
- 詰め替え製品を利用する
- レンタル品の利用をする
- 流行に左右されず長く使える品質の良いものを選ぶ
このようなことを意識して、なるべくゴミを生みださないように心がけましょう。
3.繰り返し使う:Reuse(リユース)
新たなゴミを生み出さないために、物を大切に扱うことも大切です。
繰り返し、長く使うことでゴミを削減することができます。
使わなくなったものは、リサイクルショップ、フリーマーケットなどを利用したり、必要な人に譲ったりすることもできますね。
繰り返し利用して、物を大切に使う工夫を心がけてみましょう。
4.修理して使う:Repair(リペア)
壊れてしまったものは、捨てる前に修理して使うことができないかを考えてみましょう。
修理してできるだけ長く使ったり、リメイクして使うこともできるものがあります。
使えなくなったものや着なくなった服をリメイクして、おしゃれなものに生まれ変わらせたりする方も多いですよね。
捨てる前に修理して使えるかどうか考えることも心がけましょう。
5.再生利用:Recycle(リサイクル)
ゴミを減らそうと思って、いろんな対策をしても少なからずゴミは出てしまいます。
そういったゴミ・不要物は、分別してリサイクルをすることで有効利用をすることができます。
資源として回収されたものは、新しい製品の原材料などに再生利用されます。
家庭で出たゴミは、
- きちんと分別して回収場所に出すこと
- 地域の集団回収、スーパーなどの回収ボックスなどを利用する
- 家庭用ゴミ処理機などで生ゴミを堆肥化する
こういった対策をすることでゴミ削減、リサイクルにつながります。
家庭で出すゴミは、正しい分別をしてリサイクルに出すことが基本になります。
自治体の決められた資源ごみの分別ルールを改めて確認し、正しいゴミの分別を心がけていきましょう。
個人でできるゴミ削減対策をすることで、資源を有効利用し、環境への負担を減らすことができます。
このように「5R」を実践してみてはいかがでしょうか。
- Refuse(リフューズ):断る
- Reduce(リデュース):ゴミの発生抑制
- Reuse(リユース):再使用
- Repair(リペア):修理
- Recycle(リサイクル):再生利用
私たち一人ひとりの心がけと行動が、今後の環境を大きく変えることにつながります。
それから、もし、「もっと積極的に取り組みたい!」というのであれば、以下の17Rを実践してみてはどうでしょうか?
あなたは何個のRを知っている?最新の取り組みはここまで進んでいる…>
日本は33位!『世界で一番ゴミを出している国ワースト10』をチェックする >
【まとめ】最初からゴミを出さない工夫が重要
このままでは日本でゴミが捨てられなくなり、私たちや22世紀を生きる子どもたちの生活環境は最悪な状態になってしまうことがお分かりいただけたと思います。
一人ひとりが生活スタイルを見直し、安易にゴミを出さない意識を高めることが大切です。
ゴミ問題を改善していくためにも、1人でも多くの人に「5R」が広がるようにシェアしていただけるとうれしいです。
一般廃棄物の排出及び処理状況等(平成29年度)について|環境省
https://www.env.go.jp/press/201903252.pdf
【近ごろ都に流行るもの】賞味期限切れ食品が「20円」で食品ロスの究極対策|Sankei BIZ
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190417/bsm1904170650001-n1.htm
韓国が直面するゴミ問題 海外に「輸出」出来ず国内に不法投棄120万トン|CNN.co.jp
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