ヴィパッサナー瞑想をはじめて1年がたった。
(正確いうと1年と5ヶ月)
始めた頃は、こんな感じだった↓
イマはここ↓
はじめてヴィパッサナー瞑想という名前を聞いたときは、
「なんかオカルト宗教チックな名前でヤバそうだな。へんな団体に巻き込まれなければイイけど…」と思ったのをふと思い出した。
でもヴィパッサナー瞑想を日本語訳すれば「観察瞑想」という観察するだけのいたってシンプルな瞑想法で、実際やってみても安心、安全だった。
自分の感覚を毎日10分間、観察するだけで、世界がこんなに変わるなんて、思ってもいなかった。なので、もしあなたがヴィパッサナー瞑想に興味があるのなら体験談として参考になると思う。
それでは、僕の体験と感想をまず先に述べて、仏教に照らし合わせたヴィパッサナー瞑想の理解については後半で述べていく。
自分に素直になれて、自分にとって本当に大切なものが見えてきた。
あなたにも仕事やパートナーを選ぶうえで、
「お金(給料や相手の収入)を求めたり、人目(見た目や肩書き)を気にした結果、自分が本当に大切にしたいもの、大切にしたいことがわからなくなってしまった。」
という経験はないだろうか?
特にお金を追うと自分の大切なものはドンドンみえなくなっていく。
なぜならば、
「お金があれば解決できる。」
「お金がないと生活できない」
という資本主義の思考に洗脳され、とりあえずお金を貯めなければいけない、と思い込んでしまっているからだ。
もし、あなたが嫌な仕事をしているのに、仕事を辞めたら生活できないと思っているとしたら、まさに資本主義に飲まれてしまっている証拠と言ってもいいかもしれない。
なぜなら、実際にはいろいろな仕事が至るところにあり、辞めても他の仕事をすればお金に困ることはないからだ。
好きな仕事ではなくても、好きな人間関係と仕事をするのは、ストレスがない状態でお金を稼げていい。
なにしろ、僕が本当に大切にしたいと思ったものはと言うと、愛を提供しあえる人間関係だった。
この人間関係があれば、
- 住むところも
- 食べ物も
- サーフィンも
- サーフボードも
- 極上の波も
ヴィパッサナー瞑想を通じて、このことに気がつけたことは、僕の人生の財産となった。
お金も必要だけど、お金を人生の第一基準にすると、一気に生活することが難しくなることも理解した。
最初は、お金につられて嫌な仕事でも選んでしまい、
↓
さらには嫌な人間関係に我慢することになり、
↓
稼いだお金はストレス発散に消えていく。
そして、気がつかないうちに負のスパイラルに入って、お金が無くなることが怖くて抜け出せなくなってしまう。仕事を辞められなくなってしまう。嫌いな環境から抜け出せなくなる。
どこまで行っても満たされるどころか、続ければ続けるだけ先細りしていってしまう。
これでは苦しいのも当たり前だ。
「今に集中できるようになってきた」集中が途切れても、また集中状態に戻れるようになった。
「今この瞬間を感じる」、「今この瞬間を生きる」、「今この瞬間に全力をそそぐ」、ということが欧米に禅や仏教の文化が広がると同時に、日本でも、これらの言葉をよく聞くようになってきた。
ヴィパッサナー瞑想は、自分の感覚を追っていくことに集中することの連続だ。
自分の感覚に集中すると、ここちよいそよ風の音が聞こえたと思ったら、忙しい車が通る音が聞こえたり、または、太陽の柔らかい日差しを感じたり、または、飾ってある花の香りや、外に干している洗濯物の匂いなど、移り変わっていく「今」に集中しつづける。
僕たちは日常生活や仕事をしている途中で、なんとなく目にしたメールやLINE、電話などに意識をもっていかれて、さっきまで集中していたことから離れてしまいやすい。
人間は誘惑に弱いので、あなたが大切だと思っている人からの連絡、あなたの大好きな趣味や大好きな食べ物になると、真っ先に反応してしまうだろう。
でも、ヴィパッサナー瞑想をしていると集中が途切れても、「今」に集中するクセがついてくるので、長時間、「今」への集中力を保つことができる。
日常でも無意識的にヴィパッサナー瞑想をするようになってきた。
上座仏教(古代仏教)ではヴィパッサナー瞑想は「涅槃【ねはん】(悟りを開くこと)」のためにおこなわれる。
次の段落で説明するが、涅槃【ねはん】にたどり、着くまでには16段階があると言われている。
悟りをひらく過程で行捨智【ぎょうしゃち】という「常時、ヴィパッサナー瞑想状態」が必要になるらしい。
これは『鬼滅の刃』でいうところの、全集中の呼吸を常中しているのに近いと思う↓
炭治郎君が会得したのは全集中・常中という技です 全集中の呼吸を四六時中やり続けることにより基礎体力が飛躍的に上がります これはまあ基本の技というか初歩的な技術なので できて当然ですけれども
会得するには相当な努力が必要ですよね— 胡蝶しのぶ (@bot_Kochou_S) August 2, 2021
ヴィパッサナー瞑想の場合は本でも、
- 寝ながらのヴィパッサナー瞑想
- 歩きながらのヴィパッサナー瞑想
- 食事をしながらのヴィパッサナー瞑想
- 椅子に座って立つ瞬間のヴィパッサナー瞑想
などと、すべての時間においてヴィパッサナー瞑想を無意識的にできるようになる段階もしっかりと示されている。
ヴィパッサナー瞑想で「色(感情)」と「名(物質)」の区別ができるようになってくると、意識しなくても常に自分の行動を確認するクセが付いてくる。
自分でも気が付かないうちに、ヴィパッサナー瞑想(観察)していることに気がつくようになってきた。
ちなみにヴィパッサナー瞑想は16段階があり、自分が体験的にどのへんにいるのか照らし合わせてみた。
【ヴィパッサナー瞑想の進捗状況】もちろん「涅槃」はぜんぜん獲得できていないけど、ものすごくいいと感じる。
ヴィパッサナー瞑想をやってみると、すごい効果があることは体験からも理解できる。
でも、やってよかったと思える日もあれば、うまくできないときもある。
ヴィパッサナー瞑想の進捗には大きく7段階にわけた七清浄とさらに16段階に細かくした十六観智があるので、紹介していく。
1.戒清浄
生活の基礎が大事であることがわかる状態。
2.心清浄
心が安定していることが大事であることがわかる状態。
3.見清浄
- 名色分離智慧
(感情と物質世界の区別ができる)
これは、ヴィパッサナー瞑想をはじめて3ヶ月くらいの早い段階で理解できるようになった。
4.渡疑清浄
- 縁摂智慧(因果関係の理解ができる)
わかるような気もするがよくわからない。
因果関係をよく間違えている自分に気がつくことができるようになった。
6.道非道智見清浄
- 思惟智(無常・苦・無我を熟考できる)
- 生滅智(無常・苦・無我が理解できる)
正しく瞑想できているか、間違った瞑想をしているかを判断できるようになるらしい。
未来は常に不確定であり、だからこそ、心が揺れて不安になり苦しくなる。
そして、自分でコントロールできることではないことを理解する。
7.行道智見清浄
- 壊滅智(全ては消えていくことを理解できる)
- 怖畏智(全てが恐ろしいと感じることができる)
- 過患智(自分の欠点をみつけることができる)
- 厭離智(厭い・嫌だと思うことができる)
- 脱欲智(全てから逃れたいと感じることができる)
- 省察智(再び考察することができる)
- 行捨智(激しい努力をせずに瞑想を続けることができる)
- 随順智(念じる必要がなくなる、らしい)
自分が正しくヴィパッサナー瞑想をできているか、その効果を得られているかを知ることができるらしい。
自分の感覚では、『道非道智見清浄』については、なんとなくわかる気がする。
でも、それが正しいか、正しくないかについては全くわからない。
ただ、ヴィパッサナー瞑想をしていていい方向に向かっていることは感じる。悪いことではないことは感じる。
8.智見清浄
- 種姓智(まったくわからない…)
- 道智(まったくわからない…)
- 果智(まったくわからない…)
- 観察智【反省智】(まったくわからない…)
調べてみると、無の境地なのだと思うが、読んでみても全く意味がわからない世界の話に聞こえる。
そんな世界があるのか〜と、まったくイメージができない(笑)
【仏教】三毒(貪・瞋・癡)を知覚できるようになった。
三毒については、前から知っていたが、ヴィパッサナー瞑想をすることによって、智識を体験に落とし込んで知ることができてきた。
三毒とは仏教において「もっとも人間を苦しみに追いやる3つの原因」というのが簡単な解釈だ。
大乗仏教では、貪瞋癡(とんじんち)は、「妬む、怒る、愚痴る」として紹介されることが多々あるが、これは間違いであり、原始仏教では「貪欲、怒り、妄想」と訳されている。
【貪】自分の貪欲さを知る
自分が管理できるものには限界がある。
使うことがないのに「後で必要になるかも」という思考と行動になって、ついつい使わないものが貯まっていってしまう。
でも、その思考と行為は、いつになっても使わないモノに対する思考と行動なので、こうすることじたいが「壮大な無駄」なのだ。
1年使わなかったものは、ほぼ要らないものだろう。
3年使わないものなんて、一生使わないものだろう。
それはお金についても食べ物についても同じことが言えると思う。
自分が管理できないもの(使えないもの、どこにあるかすらわからないもの)は要らないものだ。
【瞋】自分の怒りがどこからくるか気がつける
仕事や人間関係に難題を抱えていたり、極度のストレスに襲われると、現状を変えられない自分にイライラしてくる。
そして、イライラを超えて怒りになってくると、論理的な思考、生産的な思考ができなくなる。
例えばこんな感じで、言い訳ばかりになってしまう。
↓
もっと上司が理解してくれないからだ。同僚がサポートしてくれないからだ。
↓
家族は誰も自分の苦しみを理解してくれない。
↓
家に帰って仕事のイライラを家族にぶつける。
↓
家族との関係が悪くなる。
↓
家族の問題を仕事場に持ち込んで、他の従業員に八つ当たりする。
というような、状況の人をよくみる。
でも、根本的には自分の脳力がないことが問題なのだ、そこに気がつければ、
- 自分でスキルを身につければいい。
- 自分以上にスキルの高い人にお願いすればいい。
- もっと理解してもらえる伝え方はないだろうか?
などと、解決策はドンドンでてくる。
【癡】自分の妄想と現実を見分けられるようになる
ヴィパッサナー瞑想をしていると、感覚の世界(自分の脳が解釈している世界)と現実世界(物質世界)には大きな乖離があることに気がつける。
特にインターネットでよく流れてくるニュースやテレビで流れている映像は、悪意をもって編集や切り取りをしたものが多い。
情報の世界にながされず、しっかり自分の五感から得られる情報をキャッチすることが重要だと思えるようになってきた。
【仏教】の戒・定・慧に気がつけてきた。
上記で紹介した三毒(貪瞋癡)という煩悩を解消するのに、重要となってくるのが三学(戒・定・慧)だ。
ヴィパッサナー瞑想を続けることによって、この三学の重要性により気がつけるようになってきた。
戒
自分の内面をしっかり直視し、悪い部分は修正し律することの重要性
定
集中し継続することで目標に到達できる、しやすくなる。
慧
ありのままの本質をみて、論理的、合理的に考えることで、失敗しにくくなる。
というのが、とても大事だということに思えてくる。
継続するのが難しいと感じることもあるけど、結局は…
1年つづけて思ったことは、瞑想は忙しいときほどやったほうがいいのだけど、
- 忙しいという感情に侵されたり、
- 友達と遊んで生活のリズムが崩れたり、
- または急用が入ったりすると
毎朝の日課にしていた10分の瞑想がおろそかになることも多々ある。
でも、忙しい時こそやると心が落ち着き、結果、充実した一日をおくれたり、仕事がはかどったりするので、継続できている。
忙しい時こそやったほうがいいとわかっているからこそ、数日間ヴィパッサナー瞑想をしないとしても数日で瞑想をするような習慣を作れている。
【まとめ】継続して、もっと新しい世界観を観てみたい。
ヴィパッサナー瞑想をやると、世の中が非常にシンプルにみえてきて、考え方もシンプルになれていい。
ただ新しい価値観、世界観を取り入れることは、今までの世界観や自分の価値観、体験を否定しなければいけないこともあり、困難が伴う。
自分が信じてきたものを否定することは、けっして楽なことではないが、ストレスなく生きていくには受け入れたほうがいいということを心のどこかで気がついている。
一気には変えられないので、ヴィパッサナー瞑想を1日10分でもいいので、数年間は続けていくことが重要なんだと思う。
悟りを開こうなんて一切思わないが、どんな世界がこれから見えてくるのかと思うと、楽しみだ。
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